2010年12月25日土曜日

SS翻訳 「甘美な声」

クリスマス企画というわけではありませんが、SSの翻訳ができあがりましたのでお知らせします。

今回はSilentcook氏による作品です。
ある日の久夫とミーシャの逢瀬を描きます。

Silentcook氏はリリーの担当ですが、ミーシャ担当のA22氏もその出来に脱帽したとのこと。
本編にはミーシャルートはありませんが、見事な本歌取りの出来映えをお楽しみください。

成人向けの内容を含むため、フォーラムに投稿しています
よろしければご覧ください。

2010年12月24日金曜日

メリークリスマス!


Four Leaf Studiosよりすべての皆さんへ、メリークリスマス!

内紛

(訳注:遅くなりましたが、英語ブログ2010/11/24分の記事です。)

ビジュアルノベルの作成は戦いである。ここ4LSでは、文字通り、そして比喩的にも、しばしばこれが成り立つ。私たちの中には、共同作業を行おうとするといつも互いにけんかを始める三つの派閥がある。ライティング、イラスト、そしてディレクションだ。その理由は、VNはリソース管理のゲームであり、負けないようにプレーする唯一の方法はプレーしないこと以外にないからだ。ビジュアルノベルは本質的に、私たちが「資産(asset)」と呼ぶ部品の集まりを、プログラムの魔術によって一つに組み合わせたものだ。作るのがもっとも「高価」であるという理由から、イラストは有限なリソースとして扱われる。VNは多くの場合、イラスト資源を節約するという思想の元に作られる。可能な限り再利用し、できうるときはズルをするのである。作業をする際は、誰もがイラストの有限性を考慮しなくてはいけない。

そのため、KSのようなVNの基本構造は二人(あるいはそれ以上)の人物の会話、そして主人公のモノローグだ。これらは低コストで映像化することができる。キャラクターの立ち絵と背景があればおしまいだ。しかしこれら以外の何かが発生した場合(たとえば、二人のキャラクターがキスをする)、解決しなければいけない問題が発生する。ゲームスクリプトの一行一行をビジュアル化しなくてはいけない。そのため個別の解決策を考え出す作業はディレクターに委ねられる。ディレクターは問題を回避し、キスシーンを読者の想像に任せるか(手抜き)、または既存のイラスト資源を駆使してキスの表現をひねり出すか(不気味)、イラスト担当にキスシーンの絵を描くよう依頼するか(高価)、またはライターに本当にキスシーンが必要なのか考え直すよう頼む(難儀)ことができる。

リソース節約的な映像化によって、興味深い問題がVNのライターに突きつけられる。ある種の物語の説明文を使うことを避け、会話と主人公の「内的モノローグ」を多用しなくてはいけないのだ。経験の少ないライターとして言うと、私はこの制限は非常に解決が困難だと感じた。多くの場合、私自身、ディレクター、イラストレーターのどれか、あるいは全員がこの問題のために不愉快な思いをした。

さて、ディレクションとは面白さよりも機能性を重視するものだ。KS開発から例を挙げると、一部のキャラクターについてある種の衣装バリエーションを作画する際、既存の立ち絵に上書きするのではなく、ポーズも別途描き起こすことになった。イラストレーターが新しいポーズを描きたがったからだ。しかしこれはdeltaの怒りを買った。各キャラに新しい衣装が追加された場合、彼がキャラクターの雰囲気・ボディランゲージ・気分を伝えるための「言語」として使い慣れていた、表情やポーズのパレットがまるまる使えなくなってしまうためだ。同じように、イラストレーターたちはシーンやイベントについて、(ライターやディレクターに言わせれば)必ずしも必要でないイラストを描きたがることもあるだろう。これは必然的に、絵を描くのに使われるべき時間が使われないことになる。そしてもちろん、イラストレーターはとにかく不可能なことを頼まれることもある。

つまり、これは戦いなのだ。ライターはあらゆる種類の気まぐれをやりたがる。ところがその気まぐれにつきあっていろんなかっこいいことをしようとするディレクターがいる。そしてディレクターは何百万枚ものイラストをイラストレーターに依頼するが、そのイラストレーターはまるっきり異なる気まぐれな絵を描きたいと思っている。そのうちに誰かがパニック発作にかかって、チームの全員を地獄に堕ちろとののしるか、一週間の深酒に明け暮れることになる。この本質的に相容れない構図は、構成員の態度と性格、自分自身と他者を苦しめるための意欲によっていずれ自然に解決する。独創的な案を捨てる羽目になったライターか、さらに時間を奴隷労働に費やさなくてはいけないイラストレーターか、新たなビジュアル化の方法を考え出さないといけないディレクターか、あるいは映像化を回避する場合は三者全員か、いずれにしても誰かが譲らなくてはいけない。KSを作るにあたり、私たちは映像表現についてかなり高い水準を保っていると個人的に思う。つまり、余力のある限り(余力を超えることも多々あるが)、できるだけ多くのものをビジュアル化しているということだ。これを拡充するような、ある種の人的資質も揃っている。結果として、私たちはしばしば自分たちのやり方でおのれの問題を解決しているわけだ。映像表現の水準について、妥協をすることはほとんどない。通常はスクリプトを直すか、イラスト資産を増やす方を選ぶ。


さて、ここまで述べてきたやり方は唯一のVNの作り方ではない。私の意見を言うなら、結局の所いいやり方でさえない。他の様々なことがらと同じように、これは私たちがただたどり着いてしまった制作手法であり、それを守っているに過ぎない。もっと経験を積んだ、有能なチームであれば、これまで説明してきたような問題によりよく対処できたことだろう。一方私たちはどうにかやりくりして、日々このプロジェクトに骨身を削っている。少なくとも、今こうした議論が起きた場合、かつてのように破滅的な大混乱にまで至ることはない。大したもんだ。私たちだって学習するんだな。

- Aura

2010年12月22日水曜日

シークレットサンタ #12: KS 第2次世界大戦

シークレットサンタ 12日目分です。

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(左、上から)
私たちは陸軍に入隊しました

逃げても無駄だ!
節約しよう
金属 古着 紙
骨組み ゴム ガラス
これらは戦場での物資になります

地域の行政委員会に連絡しましょう

オタワ市回収局 広報部発行
国防大臣J. G. ガーディエ承認


(右から2番目、下)
俺たちならできる!

(左、上から)
生粋のドイツ人はフランス人を好まない
でもフランスのワインなら喜んで飲んでいるさ

シークレットサンタ #11: 健二と琳の言い争い

シークレットサンタ 11日目分です。

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2010年12月18日土曜日

シークレットサンタ #8: KS赤ん坊

シークレットサンタ 8日目分です。

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2010年12月14日火曜日

シークレットサンタ #4: KS戦隊

シークレットサンタ 4日目分です。

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シークレットサンタ #2: 山久学園天文部

シークレットサンタ 2日目分です。

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「さぁ、みんな用意はいい?」
普段なら、何もない屋上に私の声が響く。でも今日は ――この2週間に一度の催しがある日は―― 望遠鏡やカメラ、スープやコーヒーの入った水筒の用意に忙しくしている、この6人の生徒の耳に届く。
 
いっせいに同意の声が周りの生徒たちから上がったが、みんなまだ、それぞれの作業に気をとられていた。ほんの数ヶ月前は、周りで様子を見ていると言うよりは手伝ってばかりだったが、今では私が手伝わなくても、彼ら自身で完璧にことをこなしているのだ。
 
静かだが冷たいそよ風が、夜が深まるにつれて寒さが増していくことを思わせた。私はポケットから使い慣れたカードボックスと銀のライターをさっと引き抜いた。ボックスから煙草を押し出すと、口の先に咥えたままライターの蓋をはじき、先端に火をかざした。数年の合間に、この仕草がすっかり癖となっている。
 
空気が風でだるそうに揺らめくと、唇から細く登る煙がそれに合わせて揺れる。私はもう一度生徒たちを見回す。
 
集まった天文部の生徒の一団の中には、3年3組から潜り込んできたものもいる。写真部員でもあるミサキは、夜空を写真に収めるために、この観測会への参加を希望した。反対する理由もなく私は彼女の参加を承諾した。それで今彼女は、ほかのみんなと少し離れたところでカメラを三脚に取り付けている。


  

アキコはいつものように、望遠鏡を誰よりも先に覗かせてもらえるよう触れ回っている。彼女は半身マヒで体が弱いが、驚くほど誠実で素直な人柄だ。実際そのおかげで、彼女はケイからも慕われている。ケイはいつにもまして、一言も発することなく彼女の世話をしている。2人とも(特にケイはそうだが)本当に熱心で思いやりがあるようで、入学したときからずっと天文部の一員だ。
 
マサトとサユリは、望遠鏡を覗く番を待つ間おしゃべりをしながら、てんでにスープやコーヒーをすすっている。体つきがよく、健康そのものなマサトは、その連れを除けば、誰に対しても堂々としている。そのスポーツ狩りの頭と習慣のように帽子を被っている姿を加えると、むしろ陸上部のほうが合っているようにも見える。でも、その評価は大きな誤りだ。彼はスポーツよりも学問的なことに興味を抱いているのだ。そして単に自分の健康に最大限気を使っているだけのことだ。
 
サユリは単純に、女版マサトとでも言える。彼女もまた、体格が良く、マサトと日々の運動をしている姿がよく見られる。
2人の性格は際立って似ているとはいえ、彼らの無感動な生活態度は、すぐ何をするにもやる気がないなどと誤解される。私は最初、彼らはもっと恋愛関係にあるのかと思っていたが、彼らはお互いを恋愛対象ではなく兄弟姉妹、あるいは単に兄弟とみなしているようだ。
 
この2人は今年天文部に入ったばかりだが、私が期待していたような新入部員とはちょっと違っていた。彼らのような生徒が入ってくることは全く予想していなかった、というと嘘になるだろう。
 

 
集まった生徒の最後の一人は、ドアの近くのパイプの上に一人で腰掛けている少女で、毎回この観測会に来ている。平均的な背丈に、長く黒い髪、そして柔らかな表情で、静かに座りっていて、身じろぎ一つしない。この子は今日、望遠鏡をのぞき込むことはしない。これまで一度も使ったことがない。
 
アオイはいつも私に謎めいた何かを投げかける。私は彼女のクラス、3年2組を教えているが、彼女は必要以上の注意を向けられることを上手く避けている。ある日彼女が授業のあとに私のところに来て、私が顧問を務める天文部に入れないかと尋ねてくるまでは。
 
今はもう、みんなそれぞれの活動に落ち着いている。そこで最後の煙を一吐きして、私はアオイのもとへ行く。
 
アオイは目の見える人よりもはるかに耳がいい。私のクラスの生徒、つまり盲や弱視の生徒にも同じことが言える。
彼女は静かな夜の空気から簡単に私の足音を聞き取り、その顔を私がいると思う場所へ正確に向けてくる。
 
私は彼女の傍らに腰を下ろすと、後ろに寄りかかる。しばらく立ちっぱなしだったので、ようやく休憩ができて気分がいい。旨い煙草を手にして座り、満天の星空を見上げる。周りの空気は冷えているが、寒すぎることもなく、かすかな湿気も感じられる……すばらしい気分だ。
 
時間が経つと、私はあることに気づき、すばやく煙草を口から離した。
 
「ああ、ごめんなさい」 私は意気消沈して言う。 「煙草の煙、におったでしょ?」
 
驚いたことにアオイはかぶりを振った。
 
「いえ、気にしてませんよ、ミヤギ先生。どうぞ吸ってください」
 
他に何も言わず、煙草はもとのあるべき場所に、唇の間に戻った。
 
「目の見えない子は臭いを嫌うものだから、あなたがそうでなくてちょっと驚いたわ」
 
「私にとっては……落ち着く匂いなんです」
 
「まさかあなた、吸ったりしてないでしょうね?」
 
「ええ、もちろん」 即答して、頭を振りながら強調した。「私じゃありません。父が同じ銘柄を吸っていたんです」
 
「あら? なんの銘柄だったかしら?」
 
「ラッキーストライクですよね」
 
「ちぇっ」
 
尻尾をつかめると思ったのだが。このくらいにしておこう。話していると、ミサキがイラついたように頭をかきながら、カメラに手を焼いているのに気づく。
 
「カワナさん、大丈夫? 何かあったみたいだけど」
 
「調節してるだけですよ! 気にしないでください」
 
「分かったわ」
 
私は不快な煙を吐き出すと、もう一度後ろに寄りかかった。手を差し伸べようとしても、彼らは私を必要としていない。人生そんなもんね。
 
「今年は人があまり入りませんでしたね。天文部がそれでも続いていくなんて驚きです」
 
「まあね、この学園に天文部があるのはちょっとした伝統みたいなものよ。天文部ができたのは学校が創立したときまで遡るのよ。文芸部と同じくらい替わりがないし、もし私が顧問をしていなくても、武藤先生が飛び込んできて、どっちみち存続させたと思うわ」
 
「正直に言うと、武藤先生のほうが天文部にはあっていると思います。あの人、化学の先生だし、やっぱり、英語の先生よりは」
 
「あの人とは一度顧問の座をかけてやりあったのよ。本当よ?」
 
「それで、勝ったんですか?」
 
「まあ今は私が顧問をしているから、そうなんでしょうね。私はいざとなったら自分のやりたいようにやるたちだから」
 
「じゃあ、どうしてそこまでやりあおうと思ったんですか? 何か天文学に思い入れがあったんでしょうね」
 
私は煙草を口から離すと、夜空にかざした。
 
 
「だって、星って煙草の先の火みたいだと思わない?」
 
「なんだか、先生なら絶対そう言うと思いましたよ」
 
「ちょっと、それが教師に言うこと?」
 
私は彼女の後ろ頭を小突くと、彼女はいたずらっぽくクスクスと笑い、笑みを浮かべた。彼女は何事にも快活なタイプでなかったので、私はそれを個人的な勝ちということにしておいた。
 
「先生だって、それが生徒の扱い方ですか?」
 
それからしばらく、私たちは無言で座っていた。私が星空を見上げているあいだ、彼女はほかの生徒たちに耳を傾けている。
 
 
「天体観測って、私の家族の伝統みたいなものなの。祖父も同じように星を見てた。父も。そして今は私も」
 
「周りの子供がみんな、一寸法師とか桃太郎を読んでいたころ、私はウミヘビ座とかやぎ座にまつわる神話を見聞きしたものよ。父と私は夜になると、いつも家の近くの丘で望遠鏡を覗いたわ。それで、父は子供のころテレビで見た、人類最初の月面着陸のことを話してくれた」
 
「でもこれは趣味にしておきたかったから、天文学者とか天体物理学者にはならないことにしたけどね。
そうすることで私なりに星を見るのを趣味としていられる。ほかの人と体験を共有できる」
 
「天体観測って先生にとって特別なことなんですね」彼女がやけに真面目に言うので、私はやや呆気にとられた。
 
「まあね。そのことには感謝もしてるわ」
 
「北極星とかポルックス(訳注、双子座の恒星)みたいな星、オリオン座とか小熊座みたいな星座、それにまつわるすべての神話……みんな私にとっては家宝よ。いつか、私の子供たちにも語り継ぎたいものね」
 
私ははにかんで、夢想から目を醒まそうと含み笑いする。「ふふ、なんか感傷的だったかもね」
 
「いいことですよ。そういう大切なものをもっているって」
 
「それで、あなたはどうなの? 目の見えない子が天体観測に興味があるとは思ってなかったけど」
 
「星を見ること自体が目的ではないんです。ただ……この雰囲気を楽しみたいんです」
 
「え?」
 
「私は夜が好きなんです。生き物の静かな声と、空気の匂い、かすかな湿気……落ち着きます。他の誰かと一緒ならなおさら」
 
「へぇ……」
 
「どうかしました?」
 
「私、あなたをシャイなタイプだって思ってた。教室だといつも静かで、他の子ともそんなに話さないし。でも無愛想な訳じゃない。いつも会話の輪とか集まりの縁にいて、中を覗いてる」
 
「私はただ他の人がそこにいるのを楽しんでるんです。変ですか?」
 
私は少し考えた。そういう子を知ったのは彼女が最初じゃない。だから変ではないだろう。私の答えは、私が思ったように簡単なものだった。

「全然」  
 
 
私たちの会話は途切れ、お互いへの疑問は解決したが、他の子たちのおしゃべりは続いている。それから長いあいだ、私たちは隣りあって座り、ただただ夜の静寂を楽しむ。その間、夜空は私たちをずっと見守っている。  
 

2010年12月11日土曜日

ミーシャBOTのメイキング



私たちのtwitterをフォローしている方はもう気づいていると思うけど、メインのアカウントから自動生成のspamツイートを避けるために、Mishimmie専用のtwitterアカウントを立ち上げた。MishimmieのtwitterはミーシャBOTが生成したツイートのみとなる。なのでMishimmieの更新をチェックしたい方だけフォローするようにしてください。それ以外では私たちはあまりtwitterをアクティブに使っていなかったけど、Deltaがもう少しアクティブにツイートするかもと言っている。私もそうするかもしれない。成り行き次第ってことで。

-Aura

2010年12月10日金曜日

シークレットサンタ2010




今年もこの時期がやってまいりました。今回で3回目になりますが、クリスマスを迎えるにあたり、4LS(とIRCの常連数名)が集まって、かたわ少女シークレットサンタを開催します。これまでと同様、各参加者はそれぞれプレゼントのお願いを一つ出し、そしてランダムに割り当てられたお願いを実行しなくてはいけません。「イラストオンリー」というルールにより、私たちライターも自ら恥をかく機会を得るわけですが、それもこのお祭り気分の一部なのです。

今年はmoekkiがたくさんの(^ω^)こんな顔文字を添えて進行を担当します。deltaはサンタさんの小さなお手伝いとして、新しいシークレットサンタの特別サイトを作るという大活躍をしてくれました。プレゼントはこちらの特別サイトで一日一つずつ、クリスマスの日までグリニッジ標準時の午前8時(訳注:日本時間午後5時)に公開されます。今年のイベントを皆さんが楽しんでくれることを願っています。

- Aura

(訳注:一つ前の記事の訳はもうしばらくお待ちください。)

シークレットサンタ #1: ミーシャのラプンツェル

シークレットサンタ企画について、文章ベースのものを適宜開発ブログで翻訳していきます。

こちらは1日目分です。フルサイズの画像は下をクリックして表示してください。

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2010年10月29日金曜日

Traduttore = traditore

タイトルは訳すと「翻訳者=反逆者」です。みなさんどうも。Silentcookです。またキーボードの前から、編集作業をさぼってブログ記事をお送りします。燃え尽きるのを回避するために一息ついてます。すみません。これ終わったらすぐに作業に戻るんで。マジで。

最近、VN界隈で本当にたくさんの翻訳活動を見かけます。最初は「VNコミュニティ」と書くつもりだったけど、気が変わりました。思い出してみれば、コミュニティというほどたいしたものじゃなくて、「VNに関わることをする」くらいしか参加の条件がないからです。と言うかこの私だって入れてもらえたわけだし。

この少々やっかいなお題について少し思うところを述べようと思います。


「翻訳」と言う言葉の意味は「絶対に失敗する」です。

いや冗談で言ってるんじゃないですよ。そういう心構えを持ってもらいたいんです。

ある一行の文章の訳し方は、それを訳す人によって違います。あなたがある文を直訳するか、自然に訳すか、自由に訳すか、どれかに決めたとしましょう。どれを選んだとしても、世の中には残りの二つの訳し方を選んだ別の二人がいて、この上なくはっきりとその訳し方は間違いだと指摘してくるのです。

そして同じように、読者にもそれぞれ好みのスタイルがあります。あなたと同じような考えを持っているけど、完全に同じではない……という人もいます。そして琳の台詞を目にしたら、あなたはさめざめと泣く羽目になるでしょう。

実際に翻訳者としての技量を考える前でさえ、これだけの難題があります。混乱を避けるために、話の前提として翻訳者は翻訳元と翻訳先の言語のどちらか、あるいは両方をネイティブに話すということにします。翻訳先の方が望ましいですが。そうでない場合については話したくないです。

その前提の上で、仮に翻訳者が十分な実力を持っているとしても、元の文章自体が翻訳されたものだった場合を考えてみましょう。この惨状をさらにややこしいものにしてしまうことになります。

困難はまだあります。以前、物書きというのは書き手の頭の中に浮かんだ絵を「翻訳」しようとする試みである、という興味深い指摘を読んだことがあります。このプロジェクトの数年間で私が見聞きしてきた苦労の量を考えれば、これは不完全なプロセスと呼ぶしかありません。

ところで、KSの翻訳に関して言えば、幸いなことに私は元の文章を書いたライターたちと一緒に作業し、質問をすることができます。でもたとえば、奈須さんや田中さんに連絡を取るというのはちょっとやっかいかも知れません。

(ちょっとそこの人、「不幸なこと」って言いましたか。そこには後で触れるので黙っててください。)

早い話、真っ暗闇の中を手探りして回るような作業をしなくてはいけないわけです。おまけに、大多数の人はあなたの成果の出来ばえに不満を持つことが確定している。じゃあどうしてわざわざVNの翻訳なんてするのか?

その問いに対する答えは二つしか思いつきません。当たり前の答えに見えたらごめんなさい。自分がやりたいから。そして読者層が広がるからです。

やりたいから、というのはより自己中心的な理由ですが、VN翻訳者にとっては最も重要です。わざわざ時間を費やして何かを訳すというなら、少なくともその訳す対象を好きであった方がいい。仕事で翻訳しているわけではないので、無給の奴隷労働をしているような気持ちになってしまったら、いい翻訳ができる可能性、それどころか最後までやり通せる可能性も、急激に下がります。

何かを翻訳すれば、それがどれだけマイナーであっても、読者層は広がります。情報があらゆる場所にあり、「常時つながっている」時代であっても、人々というのは自分の母国語しか知らないのが当たり前です。

翻訳されたものがリリースされるたびに、どこかの誰かにとっての選択肢が増えることになります。このこと自体が翻訳することの目的になり得ます。"translator"には「ガイド・導く者」という意味もありますが、それがより重要性を持ってきます。

あなたが好きなものが、より多くの人の目にも触れるようになる、という効果をもたらすことにお気づきでしょうか。いやいや、なんと幸運な偶然でしょう。

実際、最終的には関わったすべての人にとって結構いい感じに成功すると思いますよ! 上に書いた過ちの数々はこれからも何らかの形で繰り返す予定です。

失敗すると分かっていることをやり、達成不可能な完璧な仕上がりを求めて懸命に努力し続けるのです。

とりあえずそんなところでしょうか。さて、ルート一つが終わったので、作業に戻るとします。

- Silentcook

(訳注:Silentcook氏はKSのシナリオ編集と、イタリア語訳を担当しています。)

2010年10月24日日曜日

ライブ視聴ありがとうございました&SS翻訳第一弾

先日告知した翻訳ライブは無事終了しました。視聴いただきありがとうございました。

正直二回目があるかどうかは……どうでしょうかね。
やる方は結構プレッシャーがあるので。

訳出したSSを以下に公開します。ライブ時から多少手直ししました。
ライブを見られなかった方も、ゆっくりご覧ください。

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「これは公式ではありません」

自分の耳で、リズミカルに地面を叩く自分の足音を聞くのはとっくに慣れっこになっていた。最新の気取ったガジェットから、音楽が頭に流れ込んでくる。俺はそのビートと自分の歩調をゲームのように合わせる。

走ることは俺の習慣になっていた。雨が降ろうが、雹が降ろうが、日が差そうが、仕事の前に30分走り、昼休みの間に30分走る。俺は走って、走って、さらに走る。

3度目の生きるチャンスを与えられた人間の人生というのは、こういうものだ。

最初の発作の後、俺の人生はぶちこわされたと思った。残酷なゲームを俺に押しつけた、高いところにいる神様たちに呪詛を吐き、俺は自己憐憫におぼれた。それの何が悪いっていうんだ? 俺は自分の黄金時代だと思っていた時期に打ちのめされ、友達からも引き離されて、新しい環境に無理矢理突っ込まれた。当時は、俺はすべてを失ったと思っていた。

馬鹿みたいな思春期特有の不満から、俺は自分がわかる唯一の方法で自分の運命に抵抗した。医者の指示に従わなかった。薬をまじめに飲まなかった。ほとんど運動もしなかった。

その報いは素早く、そして容赦なかった。俺は「喪失」という言葉の全く新しい意味を知った。今は、痛みも耐えるには辛いものになった。

だから俺は走って走って、走り続ける。これが俺の贖罪だ。この10年間、毎日俺は走ってきた。

もう10年になったのか?


プレーヤーの曲が一周したので、俺は前を見て気合いを入れ直す。過去を振り返ってもどうにもならない。俺は上を向いて、前を見て、先を見通さなきゃいけない。


待てよ。


俺は視界に何かを認めて、その時稲妻のようにひらめいた。この10年間で初めて、俺は走るのを途中でやめ、振り向いた。

公園の池の脇にあるベンチに座っている人がいる。もう何千回もこのベンチのそばを走りすぎたはずだ。でもこの人物が座っているのをみたのはこれが初めてだ。彼女はサンドイッチの端をちぎって池に投げる。あひるが怠惰そうに落ちたところに泳ぎつき、それを食べる。

この世で俺以外の誰が彼女の手を見たとしても、何とも思いはしないだろう。確かに、年月は情けを示したようだ。俺が見覚えのある濃い紫色の痕は、周りの肌とちょっと色合いが異なる程度にまで薄れていた。

「華子? 華子なのか?」

手の主は振り返って俺を見る。どれだけ心臓病の運動をしたとしても、この瞬間に耐える用意はできなかっただろう。最後に会ったときと場所から何百万年、何百万キロ離れたこの場所に、華子本人が座っている。

華子の特徴だった前髪はなくなっているが、髪は伸ばしていた。いや、そうでもないかもしれない。座ったままではわかりにくい。手と同じように、顔の痕も薄らいでいた。

「久夫くん? どうしてこんなところに?」

華子は俺に気づいて立ち上がる。最後に会ったときよりも成長していた。背は少し高く、そしてずっと大人びていた。

まあ、大人びてるのは当たり前だ。もう大人の女性なんだから……

なんだこれは? 集中もできやしない。エンドルフィンと乳酸が俺の頭を鈍らせている。集中しろ俺、集中するんだ。過去は過去だ。失ったものはもう絶対に取り戻せないんだ。

「俺、あの、この近くで働いてるんだ。この辺で毎日走ってて、でもお前がいるのは今まで見たことなかったから……うわあ、もうどれくらい経ったっけ?

華子は少し首をかしげる。くそ、今のは言わなきゃよかった。いやな記憶が華子の頭の中にいっぱいになってるに違いない。ちくしょう、なんてかわいい頭をしてるんだ。今まで誰にも言ったことはなかったけど、華子の頭はかわいい。

「長すぎた……ほんとに長すぎたわね。私、仕事で来てるの。道の向こうのホテルに泊まってる」

華子は後ろのどこかに向かって手を振る。細かいことは関係ないんだろう。それよりも、彼女の物腰が変わったことに驚いた。もちろんその始まりはずっと昔、高校生活の終わり頃から現れていたけど。

あの頃の俺たちの関係は、繭を作っている芋虫のようなものだったと思う。進展はあったけど、それは終わりではなかった。俺の前に立っているのは、蝶となった華子だ。完全に成長しきって、世界へと羽ばたこうとしている。

華子が羽化したときに、俺はそのそばにいなかったということに気づいて、心がずきりと痛んだ。

「へえ、出張か。じゃあ、華子もうまくいってるんだな……」

前触れもなく、時計が鳴り始める。鋭く二回鳴り、1秒間止まる。その繰り返し。今まで、それは回れ右して仕事に戻る合図だった。今日のそれは俺と古い友達の間に打ち込まれたくさびだった。

「やばい、俺仕事に戻らなきゃ。なあ、今日の午後は暇か? 今日は金曜日だから、少し早く帰れるんだ。酒かコーヒーか何か飲みながら、話さないか?」

「ええ、いいわ。ホテルの近くにいいカフェがあるの。大通り沿いに。『ステートメント』って名前だったと思う」

「ああ、それなら知ってる。そこで5時くらいに会えると思う……それとも早すぎる?」

華子は首を振る。短い動きが彼女の長い髪の毛を踊らせる。水晶のイヤリングの輝きがそれを強調する。

俺たちがデートしていた頃、華子は一度もイヤリングをしなかった。似合ってる。

「5時でいいわ。じゃあ後でね」

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華子は公園にいたときと同じスーツを着ている。薄いグレーで、白いピンストライプだ。誰か他の人が華子のスカートをはけば、「ロング」スカートと呼ばれるだろう。だけど華子のことだ。俺に言わせれば華子の3/4? の長さのスカートはむしろミニに見えた。俺は18歳に戻り、ホルモンの海で泳いでいた。

「もうワインを一本頼んだけど、いいでしょう? いつまであなたがいるかわからなかったから」

華子の話し方を聞いて、俺はほとんど口がきけないほど驚いた。今になって初めて、俺は華子の声色に気づいた。学校時代には全然注意していなかったのだ。華子に聞かなきゃいけないことがある。たくさんの、意味のない質問を、華子が俺に話し返してくれるものならなんでもいい。

「いや、全然構わないよ。あと遅くなってごめん。思ったより仕事が長引いちゃって。電話しようと思ったんだけど、番号知らなかったから……」

「じゃあ、それは何とかしないとね。あなたの番号は?」

華子の指が携帯の上で踊って、俺のデータを入力していく。最後に俺の電話にかけて、手順を終わらせる。

「さてと、じゃあ久夫くん、最近何してるのか教えて?」

「正直言うと、大したことはしてない。生命保険の会社の保険数理士っていうのをやってる。人がいつ頃死ぬかを計算して、保険を引き受ける価値があるかどうか判断するんだ。15.7年。参考までに言うと、俺にはそれしか残ってない。走るのを始める前は、その半分しかなかったかも。自分の勤めてる会社の保険にだって入れないんだぜ」

「辛い話ね」

「まあね。でも請求書を払って十分おつりが来るから、文句は言えないさ。華子はどうなの? 悪気があって言う訳じゃないけど、すごく変わったじゃない」

華子は遠くを見るように顔を見上げる。最後に会ったとき以来の彼女の人生を振り返って、大事な出来事を思い返すかのように。

「そうね、変わったかもしれない。でもいろんなことが起きたから……あのことも……あなたの……ね」

「心臓発作だろ。別にいいよ。言っても」

「ええ、あなたの心臓発作。あれのおかげで、いろんなことを自覚して、それで助けを呼ぼうと思って離れていった」

古い怒りが波となって俺に押し寄せる。あの古ぼけた病院で二度目に目覚めたとき、華子はいなくなっていた。手紙もなし、電話番号もなし、ナースに伝言さえしなかった。俺にしてみれば、彼女は蒸発したとしか言えなかった。

これを言うのは俺にとっては苦痛だけど、それが一番よかったのかもしれない。ようやく華子が自分の顔をあらわにして、自由に話せるほど自信をつけたのを目にするのは、俺の苦しみをいくら積んでも釣り合わないだけの価値がある。

「まあ何をしたにしても、うまくいってるよ! 率直に言うけど、すごくきれいになった」

「あ……ありがとう」

ああ、「俺の」華子は完全に失われたわけじゃないのかも。華子のほおが真っ赤に花咲き、魅力的だけどいらだたしくもある、あのどもりが戻ってくる。

ワインがやってきて、ウェイターがそれぞれのグラスに注ぐ。二人とも軽食を注文すると、ウェイターは陰に退き、俺たちはまた二人きりになる。

「とにかく、あの……場所を……離れてから、私は大学に戻ったの。専攻も変えて、今はこうして、レビュー記事を書いてる」

「レビュー? 何の?」

「ホテル、食べ物、着るもの……何でもよ、ほんと。世の中いろんな雑誌とか、ウェブサイトとか、新聞とか、旅行ガイドとかがあるから……全部足せば、レビューの需要はたくさんあるの。だから私も書いてるってわけ」

「へえ。それは思いつかなかった。楽しい?」

「請求書を払って十分おつりが来るから」

「そっか」

二人ともワインに口をつける。最初の近況報告的な会話が終わった後、お互いにあまり話すことがなくなる。かつて俺たちがデートをしていたとき、二人の関係は会話で成り立っていたわけではなかった。どちらかというとお互いの利益のために、とでも言うべきか。

食事が届き、話さずにすむ口実ができるけど、それもワインと一緒にすぐになくなってしまう。華子がもう一本ボトルを頼み、ウェイターがダイニングスペースからラウンジに移らないかと尋ねる。

「旅行のレビューを書くって言ってたけど、どこかおもしろいところに行った?」

「行ったけど、行ってないの。私が書いている旅行レビューのほとんどは作り話だから。いろんなすてきな場所のことをたくさん読んで、ほんとに行ったように見せかけるの」

「それって詐欺じゃないか?」

「そうでもないわ。私が書いてるような雑誌を読む人たちは、そもそも旅行なんて絶対行かないから。だから、代わりに旅行に行った気分にさせてあげるってわけ」

「じゃあ、お前は嘘をつくことでその人たちの役に立ってるってわけだ」

「世の中はそういう風にできてるのよ、久夫くん」

ワインが効き始めている。この「新しい」華子もムードに乗ってくつろいでいるようだ。2本目のボトルも来たときと同じくらいあっという間になくなり、ウェイターがもう一本頼むかと尋ねる。

「ワインは嫌いじゃないけど、次はウィスキーのロックにするよ」

華子はその言葉にしばらく考え、おもしろいけど覚えにくい名前のカクテルか何かを注文する。

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華子のホテルの部屋は、今風の銀色の内装が施された、いい部屋だった。部屋の目玉は、普通ホテルといえばそういうものだが、ベッドだ。そしてその上で華子と俺は抱擁する。

最後にこうして出会ったとき、俺は処女の華子とセックスをした。
だが今夜、俺は大人の女性となった華子と愛を交わす。

-----------------

カーテンの隙間から陽光が差し込んでくる。どうやら俺たち二人とも、カーテンのことは気にしなかったらしい。

華子はもう起きていて、ブラウスのボタンを留めていた。俺は少し体を動かして、華子の枕からシャンプーの残り香をかぐ。ココナツっぽい。俺は一人笑う。これだけの年月の後、華子と俺はまた一つになったのだ。この世のすべてがうまくいったような気がする。

「おはよう」

「あ、あの、おはよう、久夫くん」

ほとんど無意識に、俺は華子が左の薬指をもてあそんでいるのに気づく。明るい朝日の中で、その指の付け根に紛れもない薄い色の皮膚が帯となっているのが見える。

つい最近まで、華子は指輪をつけていたのだ。

「ひ、久夫くん……あなたに言わないといけないことがあるの……」

2010年10月21日木曜日

Ustreamでライブ翻訳します

最近はネタがあまりないので、ちょっとした企画をやってみたいと思います。

フォーラムのFan Fiction板に、ライター各氏がこれまでに書いた非公式な小説作品が投稿されています。ここから試しに一点ピックアップして、直接翻訳していく模様をUstreamでライブ配信してみます。

試行錯誤も入ると思いますので、見ていて面白い内容になるかはわかりませんが、よろしければご覧ください。

当日のお題はこちらです。"This is not canon"(公式ではありません)
http://ks.renai.us/viewtopic.php?f=52&t=1673

cpl_crud氏が、大人になってから再会した久夫と華子の模様を描きます。

開始時間は10/23(土) 22時の予定です。2時間くらいで終わらせるようにします。

配信アドレスはこちらです。http://www.ustream.tv/channel/ks-jp

2010年10月20日水曜日

かたわ少女 FAQ(2009/05版)

Act1の公開に前後して書かれた、かたわ少女のFAQです。
少し情報が古いですが、参考になると思います。

http://ks.renai.us/viewtopic.php?f=13&t=1471#p11839 より

Q: 完成版はいつできますか?
A: 完成したときです。プログレスバーみたいなものは期待しないでください。私たちも正直進捗をちゃんと把握していません。時々進捗が突然前に戻ることだってあります。大まかな時期を聞かれても同じです。

Q: 完成版ではsex/Hシーンはありますか?
A: あります。コンフィグでそうしたシーンをスキップするような設定も用意します。

Q: ぼかしは入りますか?
A: いいえ。

Q: 声は入りますか?
A: いいえ。これはいくつかの理由により、数ヶ月前に決定しました。会話文の量が多すぎる、声を録音したらもうスクリプトを変えられない、キャラごとに声優が必要、すでに多数いる開発者をさらに増やすことになる、等々。声優としてスタッフに応募されても採用しませんので、ご遠慮ください。ごめんなさい。

Q: エピソードごとのリリースはありますか?
A: いいえ。次のリリースで完全版をリリースします。(つまりAct2、Act3と個別にリリースすることはありません。)

Q: 完全版は有料になるんですか?
A: いいえ。本当に私たちを金銭的にサポートしたいという方は、そのお金を慈善団体に寄付してください。そちらの方がずっと切実にお金を必要としています。

Q: 公式サイトに私の言語が使われていますが、ゲーム自体も私の言語に翻訳されるんですか?
A: いいえ。あなたか、誰かあなたの言語に詳しい心優しい人が翻訳しない限り、ありません。イタリア語訳は例外です。Silentcookがデモと同様に完全版も翻訳します。翻訳したいという方には、スクリプトファイルを提供するつもりですが、こちらからは限られたサポートしかできません。とはいえ、すでに多くの翻訳プロジェクトが進行中です。

Q: 完全版ではミーシャのルートはありますか?
A: いいえ。

Q: それぞれのヒロインごとに異なるエンディングはありますか?
A: はい。全てのルートに少なくとも2つのエンディングがあります。

Q: Act1で100%を取る/特定のエンディングを見るにはどうすればいいですか?
A: サポートフォーラムに攻略チャートが掲載されています。(訳注:日本語版はこちらをどうぞ) 

Q: プロジェクトが終了してから、立ち絵・CG・音楽・背景などの素材を別にリリースしますか?
A: いいえ。ただし公式サイトの素材や、ゲームのスクリーンショットは自由に使ってかまいません。

Q: スタッフはみんな4chanの名無し出身なんですか?
A: いいえ。ときどき(あるいはもっと)4chanに書き込んでいる者も何人かいますが、それだけです。信じられないかもしれませんが、私たち自身がKSに関するスレ立てをすることは決してありません。書き込みをすることはあるかも知れませんが、概ね私たちはほかのことで忙しいのです。

Q: 私もプロジェクトに参加して手伝いたいですが、いいですか? 私は(あれやこれや)ができます。
A: たぶん無理です。とはいえ私たちも多少心境が変化しています。何度か。なので、ご自分が確かに貢献できると言うことを示す一番の方法は、KS関連の良質な成果物のサンプルをいくつかフォーラムに投稿することです。グッドラック。KSの開発は基本的に無償の作業です。そして私たちは率直さについては容赦しません。

Q: かたわ少女を完成させたら、別のゲームを作るんですか?
A: まだその話をするのは早いでしょう。まずKSを終わらせなきゃいけないし。

Q: KSを別のプラットフォームに移植したいです。どうですか?
A: 答えはノーですが、かたわ少女は素のRen'Pyエンジンで動いています。これはオープンソースなので、Ren'Py自体をご希望のプラットフォームに移植できるなら、ぜひどうぞ。こちらから対応プラットフォームを追加する予定はありませんし、あなたの試みをサポートすることもありません。

Q: KSを別の言語に翻訳したいです。どうですか?
A: もちろんどうぞ。フォーラムかIRCでSurikoに連絡してください。ただしその場の思いつきでないこと、最低でも何らかのチームが存在することを証明できるようにしてください。

Q: 私の疑問はここに載っていません。どうすればいいですか?
A: フォーラムに目を通してください。Public Informationセクションに山ほど情報が載っています。あなたの疑問も多分(答えも含めて)見つかるでしょう。フォーラムを探したけどそれでもあなたの求める答えが見つからない場合は、質問を投稿するか、IRCに参加してみてください。irc.irchighway.netの#katawa-shoujoです。開発者が少なくとも一人はほぼ必ず常駐しています。

ライセンスについて:
かたわ少女はクリエイティブコモンズ BY-NC-NDライセンスのもとで公開されています。ライセンスの全文はマニュアルに掲載されています。こちらのリンクからも参照できます。 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/

BY-NC-NDとは「表示-非営利-改変禁止」を意味します。説明すると:

1. あなたはFour Leaf Studiosの作品であるという表示をする限りにおいて、かたわ少女をそのままの形で再配布することができます。

2. あなたはかたわ少女を営利目的で使用してはいけません。これはゲームの再配布、またはファン活動によってお金を得ることも含みます。

3. あなたはゲームを改変したり、これをもとにあなた自身の派生作品を作ったりしてはいけません。特に、リバースエンジニアリングによって音楽、画像、スクリプトを抜き出す行為はライセンス違反であり、許容しません。

もちろん私たちは、これらの制限を個別に免除することもできますし、翻訳プロジェクトなどに対して実際にしています。ライセンスの違反となるけれども、いいと思われるアイディアをお持ちである場合は、私たちの許諾を得てください。

私たちはこのゲームを作るために長い間苦労を重ねてきました。そして皆さんに無償で配布しています。そして皆さんがゲームについて話をするための場も提供しています。その代わりに、みなさんもこれらの簡単なルールにしたがっていただけるようお願いします。

2010年10月10日日曜日

坩堝




この週末、influence mapというDeviantArtから始まったミームがFour Leaf Studios内で大流行した。 コンセプトは単純だ。5x6のチャートを自分が影響を受けたもので埋めるだけ。強く影響されたものが、より大きなスペースを占めるようにする。12人の4LSメンバーがこのマップを作り、それを一つの巨大なメガマップにまとめ上げた。KSプロジェクトに直接関わる内容では全くないが、KSそのものがどんなものに影響を受けたかについても、私たちは議論や考察をした。その結果は容易にこれと同じくらい大きなマップを埋め尽くすだろう。

ともかく、これはとても興味深い試みだった。自分たちやお互いのことを考え、より深く理解するきっかけになった。特に絵を描かないメンバーの何人かは、マップを埋めるのに笑ってしまうほど苦労していた。ある意味、こうして私たちに影響を与えたものをまとめ上げるというのはとても適切だと言える。KSは結局、みんながお互いに影響を与えながら、それぞれの作り上げたものを出し合っていく坩堝なのだから。(その証拠に、私たちのスタジオのロゴもマップのどこかに入っている。)これまでに話したことのあるものもあったし、間違いなく予想外のものもあった。どの影響元が誰につながっているのか、当ててみるのも面白いだろう。

IRCにいる仲間たちもマップづくりに挑んだ。彼らが影響を受けた様々なものに混じって、その中に「かたわ少女」が納まっていたので、私は純粋に驚いた。すごいものだ。私たちが影響を受けたもの(加えて、それらが当時影響を受けたもの)は、他の人々にとっては二次的に影響を及ぼし、それがさらにいつの日か、どこかで別の人たちに届いていく。この影響の繰り返しについて私に尋ねたのはmoekkiかkamifishだったと思う。この連結性に私はしばらく固まったが、どういうわけかその奇妙な感覚は、それを感じ始めたときと同じくらい突然に消え失せた。私は生産性向上のためにモチベーションを刺激する「電気の流れる首輪」を4LSに導入する件について考える作業に戻り、一人かすかにほくそ笑んだ。

あなたは何に影響を受けていますか?

- Aura

2010年10月1日金曜日

茨崎笑美の場合

みんな作業にかかりっきりだったので、しばらくブログをほったらかしにしてしまいました。というわけで、久しぶりのブログ記事です。今回は笑美の絵についてです。

笑美のデザインの進歩を見るために、その移り変わりを時系列で示してみました。最初はRaitaのオリジナルのスケッチ(元は白黒、彩色は別の人)から、Ke^4のデザイン、続いてAmbiのデザイン、そして最後に現在ゲームに収録されている立ち絵です。


ご覧の通り、笑美のデザインは義足を除いて大体オリジナルに沿ったものになっています。Raitaのオリジナルの絵に描かれているのはランニングブレード(板状の走行用義足)をアレンジしたものですが、これは主に足を失ったアスリートが走るために使うものです。このため、現実世界で使われているランニングブレードを参考にしたものが体操着の立ち絵で使われています。日常生活では、もっと目立たないものを使っています。体操着のデザインと色遣いも開発の初期に決まりました。Ke^4がデザインしたもので、かなり後になるまで変更されませんでした。

笑美の最初のイラストレーターだったAmbiは、最初の再デザインと基本的な立ち絵を2008年2月頃に完成させました。他のヒロインに比べて画風が少し違うのと、彼女の制服に違いがあるのはこれが理由です。Ambiは笑美の「ページボーイ」風の前髪をもっと今風のものに変えて、同時に髪の長さも全体的に短くしました。

2009年半ばにAmbiがプロジェクトを辞めたため、他のCGなどのイラスト素材を描く際に、彼が確立した画風と合わせるのがとても難しくなりました。そのため2009年の12月にもう一度デザインをやり直しました。これまでのデザインとの差異は最小限にとどめる一方で、髪型は私とPimmyが描きやすいように少し修正しました。このデザイン変更の結果はAct1 V4で見ることができます。

最後におまけですが、今の笑美のデザインをしたときのキャラクターシートです。


他のキャラクターについても、そのうちに今回みたいなブログ記事を書こうと思ってます。待っててくださいね。

- Moekki

2010年9月27日月曜日

Manifestパネルの書き起こし:日本語訳

翻訳チームです。

Manifestパネルの書き起こしとプレゼンテーションの翻訳が出来上がったので、お知らせします。大変お待たせしました。

書き起こし(フォーラム内)

パワーポイント(Megaupload)

2010年8月29日日曜日

Manifestパネルの書き起こし

うちのIRCにいるLawlsがManifestでのかたわ少女パネルの書き起こしを書いてくれたので、私(Suriko)が手を入れた。長い長い長い時間の後、ようやく終わった。

注:フォーラムに載せてあります。ここに投稿するにはあまりに長すぎるので。

(訳注:書き起こしの日本語訳は現在準備中です。しばらくお待ちください。)

若きClimaticの悩み

Act 1のリリース以後、私たちはKSに新しい種類のビジュアルを追加した。「カットインCG」と呼ばれるものだ。これは簡単に言うと立ち絵と一枚絵の中間にあるもので、完全な一枚のCGではないが、背景プラス立ち絵というシステムの範疇にもないものだ。絵描き達はこういう小さくてはっきりした絵を描くのを楽しんでいる。それと、スクリプト中に何か関心を引くような物体が指定されていたり、「二人の人物が話し合っている」以外の状況が起きたときに、その辺に適当に挿入するのに便利だったりする。

しかし、こうした小さくて味のある絵にはマイナス面もある。単にカットインCGにできるからといって、それを必ず描かなくてはいけないわけじゃない。時には、カットインCGがスクリプトやディレクションと噛み合わなくなることもある。時には蛇足に過ぎることもある。そして……その絵を描くこと自体が、予想を超えた難行になることもありうる。絵描きにとってはいい息抜きになるはずだったのに、まさに正反対の結果になってしまうのだ。そんな例として、ある日SurikoがclimaticにカットインCGを依頼したときの悲惨な物語をお送りする。華子がリリー相手にチェスを指す一場面の中で、deltaがスクリプトに「チェス盤の絵があるといいかも」と注を入れていたので、Surikoはclimaticにそのように伝えた。

「二人が使っているチェス盤には、一つ一つのマスの中央に穴が空いていることに気付く。駒の底にはピンが立っていて、黒いマスは少し高さがつけられている。」

これはゲームのスクリプト中にある説明だ。山久学園なら見かけるであろう、目の見えない人にもプレイしやすいようになっているチェス盤だ。Climaticは「ああわかった、じゃあ描く」と、この一年でもっとも後悔することになる答えを返して作業にかかる。これは見た目よりも簡単ではない作業だということが明らかになった。というか、実際にはとてもややこしいことが判明した。climatic自身の水準を満たすチェス盤を描くのに必要な労力は「巨大」か、あるいは「途方もない」とさえ言えた。まず、climaticはチェス盤を手早く3Dでモデリングした。彼が描き始めた角度では、高くなっているマスを描くのが難しいためだ。

<climatic> asdfasdga
<climatic> agfakfhgadrgra

ところが色塗りの段階に入ると、高くなっているマスの一つ一つを結局個別に塗らなくてはいけないのだった。モデルを作ったことが役に立ったといっても、これは耐え難いほどに細かく、疲れる作業だった。

<climatic> あああああああ

チェス盤が完成した後は、駒のセットが必要だ。12種類の異なる駒を32個、それぞれ個別に描かなくてはいけない。そして今度は、一つ一つの駒と、高くなっているマスも(それぞれ個別に)光源処理をしなくてはいけないのだった。それと影付けも。そう、個別に。

<climatic> 終わりがみえねー
<climatic> このクソCG
<climatic> askdjkj

合計すると、このチェス盤を完成させるのにほぼ3ヶ月かかった。(最大の理由は圧倒的なやる気の欠如だけど。無理もない。)そして完成した理由も、climaticがあまりにイライラした末に製作を拒否したからに過ぎない。

<climatic> くっそ
<climatic> ahsdd
<climatic> adsnkljlgf
<climatic> もうしらね

幸いチェス盤そのものはもう十分出来上がっていたので、moekkiが迅速に効果レイヤーを加えて仕上げ、ゲームに挿入できるようになった。ところが! ここに来ていくつか致命的な連絡ミスがあって、climaticに伝わった情報が不十分だったことが発覚した。実はその間に、deltaがカットインが不要になるようにそのシーンへのディレクションをしていたのに、リクエストそのものを取り消していなかったのだ。また、チェス盤の絵が説明に沿っていない(穴が描かれていない)だけでなく、すでにゲーム中に追加されている同じチェス盤の絵と大幅に食い違っていた。つまりclimaticはゲーム中の説明と一致しない、別のチェス盤の絵とも噛み合わない絵を描くのに3ヶ月も費やしたというわけだ。しかもゲームそのものにも入らない。ゲーム中のファイルのディレクションに一言でも口を出す前に、関係する人間に何度でも念を押して確認すること。皆さんにもこの教訓が伝わることを願う。

<climatic> 俺の人生の数時間を無駄にしてくれてありがとうSuriko
<climatic> オーブンに頭突っ込んでくる

心配ご無用! climaticのカットインCGと違和感が出ないように、Moekkiが二つ目のチェス盤の絵を手直しした。(彼女はセーブするのを忘れるタイプなので、2回もやり直す羽目になった)そしてweeeがカットインに穴を描き加えて、deltaが諸々の要素がちゃんと整合するようにシーンのディレクションを調整した。

この血と汗と涙の結末は?




おお! 全ての労力が10倍になって返ってきた。ゲーム中には他にも山ほどカットインCGがある。たとえば久夫が学園祭でゲットして静音に渡した、このかわいらしいぬいぐるみ……(私は茄子猫と呼んでいる)



……またはこの謎の箱!




……ブログに描くようなネタが何もなければ、開発はいつも順調に進むんだろう。

2010年8月24日火曜日

Manifestでのかたわ少女パネル(音声もあるよ!)





もうみんな知ってると思うけど、Surikoと私がCemex氏の招待を受けてManifestアニメコンベンションに参加し、パネルディスカッションを開催してきた。

白状すると、それ以前のセッションを見る限りでは、大して期待できそうにないと思っていた。KSがニッチ中のニッチ中のニッチであることを考えると、参加者は3人くらいしかいないだろうなと予想していた。

なのでSurikoと私で準備をしている間に、パネル会場の部屋に人がなだれ込んで来たときは、ちょっと驚いた。(Suriko注:9割以上の人がKSをすでに知っていたと言うことにはもっと驚いた。)

暴露話:ぶっちゃけSurikoも私もパネルに向けてわざわざ練習とかしていなかった。まあ少なくとも私は。(Suriko注:俺もしてない。)ありがたいことに、参加してくれた人の半分以上は私の話に最初から付いてきてくれたので、やりやすかった。

パネルの詳しい内容にはあまり触れないでおく。その辺は全部、冷たくて固いMP3でエンコードされた1と0に収まっているので。ただ少しばかり補足したいと思う。

まず、招待と世話をしてくれたManifestにお礼を申し上げます。彼らはわざわざ今回のプレゼンテーションをオーストラリア検閲委員会に通してくれた。(たぶん中国を除けば世界一厳しい)私たちは"MA"(15歳以上)とレーティングされたけど、あとで「かなりおとなしめ」だったと言われた。すげえ。

観客の多さにはとても勇気づけられた。マジで。みんなありがとう。たくさん発言してくれる人が何人かいたのと、誰も寝なかったのはよかった。ゲームについて「ミーシャの障害って何?」というよりももう少し深い質問がいくつかあったのには驚かされた。(その質問には答えを用意してたけどね)

ゲームのディスクが欲しいと言ってくれた人には、来週送るようにします。私たちにサムアップしてくれた皆さんもありがとう。

いろいろあったけど、終わってみれば楽しかった。実際にみんなと会うことで少し元気が出たし、録音を聞いている他の開発メンバーも元気が出る(&楽しむ)ことだろう。そしてこれをオンラインで聞くであろう皆さんに、私たちがどうやって作業をしているのか多少なりとも伝われば幸いだ。(もしこれまでのブログ記事でもまだ足りなかったなら、だけど)

録音はこの記事中でも聞けるし、iPodなりなんなりにダウンロードすることもできる。

プレゼンテーションはこちら。Powerpoint2007形式なので、ご了承のほど。(Office2007を持っていない場合は、無料のPowerpointビューア2007をマイクロソフトのサイトからダウンロードできる。)

- Crud (と Suriko)

(訳注:録音の翻訳を現在準備中です。もうしばらくお待ちください。)

2010年8月22日日曜日

かたわ少女 Manifestトレーラー: Spin



オーストラリアはメルボルンで開催されたManifestアニメコンベンションで、CrudとSurikoがKSパネルを開いた。第一印象は「まあ良かったんじゃない?」だって。グッジョブ! このカッコいいトレーラーもパネルで上映したものだ。パネルのレポと一緒に、音声録音もあとで公開する予定だ。 どうぞご覧あれ。

2010年8月8日日曜日

いったい私たちは何を作っているのか?


昨日のことだ。誰が最初に言い出したのか忘れたけど、開発IRCチャンネルで没入感という厄介な問題について議論をしていたら、何がビジュアルノベルに分類されるのか、というもっと大きな議論になっていた。きっかけはお決まりの話題--いったいビジュアルノベルの何がいけないのか、というか、どうしてVNはポップカルチャーとして大流行できないのか、だった。(ネタバレ:VNがポップカルチャーとして大流行することはあり得ないだろう)

問題は、ビジュアルノベルはゲームであることとノベルであることの中間に引っかかっているように見えることだ。VN界隈の進展にまつわる議論をいくつか見ていると(要は某Novelstreamについての意見だけど、私はコメントする気はない)、開発者志望の連中が「VNができること」のリストを並べ立てている一方で、彼らが言っているものはVNというよりむしろRPGに近い、ということに気付いていない。おめでてーな。思うに、VNの定義というものが存在しないのが問題(の一部)なのだろう。じゃあそいつを定義してみようじゃないか。

The Hivemindの定義するビジュアルノベルとは:スタンドアロン形式の電子書籍(つまりインターネットはいらないって事だ)で、テキストと立ち絵、写真またはアニメーションを組み合わせて物語を表現する、という特徴を持つ。(つまり、ビジュアル要素とテキストが結びついた物語)。

この定義はかなり幅が広いし、物語が表現される形式にも解釈の余地が大きい。これを狭めてしまうと、革新的な工夫の余地が犠牲になる。先入観も混じってしまうだろう。さっき「インターネットはいらない」と書かざるを得なかったのは、webベースのVNがすでに存在するけど、それがVNの全てではないからだ。物語に対して読者がコントロールを及ぼすことについて、私が全く言及していないことに気付いた人もいるかも知れない。そのコントロールもVNにとって必須なものではないからだ。この形式の核心であるたった二つの要素は、名前そのものに表れている。ビジュアル要素とテキスト要素がなくてはいけない。ゲーム要素を加えると、それはビジュアルノベルではない、別の何かになる。あるいは電子文学の異なる一形態かも知れない。

こうして定義をしているけど、電子文学という言葉も定義しないといけないだろう。ここはズルをして、どこかの学問的な定義を借りることにする。(そっちでは「デジタル・フィクション」と呼んでいるけど、電子文学でも意味は通るので、こっちを使っている)「コンピュータの画面上で読まれることを想定して書かれている、電子的媒体を通じて言語的・散文的・概念的な複雑さを追求しており、他の媒体に移された場合、その審美的・記号的効用の一部が失われるようなフィクション」 ビジュアルノベルであれば立ち絵の動きや音楽が失われたりするだろう。作品によっては挿絵付きの本として作られても何も失われないだろうけど。失われるものもある、という事実だけで十分だ。

というわけで、定義の話はこれでいいとして、もう少し深く掘り下げてみよう。かたわ少女のようなものを読んだときに何が起きるのか、検証してみよう。

ここで目にするものは何か? KSは一人称の物語だ。それだけじゃなく、読者はCYOA(訳注:Choose your own adventure/日本で言うゲームブック)みたいに、様々な状況に久夫がどう反応するか選ぶことができる。(誰かアポロ13号のゲームブック、覚えてる?)これによってKSは「ゲーム」となるのか? 繰り返しだが、これも定義の問題だ。普通、ゲームには「勝ち」と定義される何かを達成するための条件がある。プレイヤーはゲームが設定した条件の下で行動しながら、勝利を達成する。KSにはそういう勝利条件は存在しない。「幸せ」なエンディングもあるし、「悲しい」エンディングもあるが、私たちはそのうち一つを「正しい」エンディングと定義するようなことはしていない。久夫は女の子とゴールインしたりしなかったりする。「悲しい」エンディングはゲームブックにおけるバッドエンド以上のものじゃない。そうなったら前に戻って別の選択をして、先に進むだけだ。ただ、一人称の叙述と、一部とはいえ久夫の反応を選べることが組み合わさって、かたわ少女の読者は自分が久夫であるという感覚をより強く覚えるだろう。(climaticはこれを「俺ってマジで○○みたいだぜ」効果と呼んでいる)この特徴は、かたわ少女を恋愛シミュレーションとして成立させるものではない。特にゲーム内のルールに従って何か努力をする必要はなくて、私たち開発者が決めた、悲しいエンディングではなくハッピーエンドに至るようなストーリーの分岐を選ぶだけでいいからだ。

というわけで、VNはゲームではない--自分からVNとして売り込んでいるようなものは、実際にはビジュアルノベルではないか、事実を曲げていると言うことだ。さらに、(こんな事は当たり前すぎるけど)VNは恋愛を題材にしなきゃいけない、なんてことは全くない。VNはゲームよりも物語に重点を置いた電子的な文芸作品だ。ゲームに重点を置いた作品の例を挙げると、Mass Effectがそうだろう。これも分岐する物語で(これも単純化しすぎた表現だけど、これ以上深く説明するともっと長くなってしまう)、プレイヤーはスキルに基づいて様々な障害を乗り越えていく必要がある。(また、全てのキャラ成長や装備の選択は物語に影響しないが、スキルによって障害をクリアする際の難易度には影響する。)個人的にはもっと三人称のVNや、いくらかロマンチックでないVNを見てみたい。VNを現状に押しとどめているものは、(VNはゲームだという、誤った頭の固いこだわりを除くと)物語に対する実験性の欠如だ。私たちはいまだにもがき続けている--そして、私は恋愛とアニメ的お約束に寄りかかりすぎた派生的VNのどうしようもないリストとKSを一緒くたにまとめている。(私たちはこれを避けるために非常に苦心した。だけど元の設定そのものがあまりにもコテコテなので、オリジナルなものを作り出せる可能性は最初からつぶされていた。)

まだそんなVNが存在していない、と言っているわけじゃない。思いつくだけでも2,3は挙げられるし、皆さんならもっと多くの作品を挙げることができるだろう。でも確実に、それは典型的なVNとは思えない。そうなるまでは、VNは時々関心を集めるだけで、その形式を上手く活用する物語に覆い隠されてしまう、そんな運命にある。VNの強みは、複雑な物語を印象的な美術と融合しながら伝えることができる点にある。残念なことに、このフォーマットにはあまりにも多くの面倒ごとを引きずっているので、その根っこからきれいに決別して、別の何かへと変化することでしか生き延びることはできない。「電子小説(electronic novel)」という言葉には、格別な響きがあると思わないか?

--The Hivemind

2010年8月1日日曜日

ある一日


今回は前のブログ記事の続きみたいなものだ。ある一日のKS開発を記録して、それをブログ記事にしてみることにする。各種チャネル上でのやりとりの経過を、一つの時系列にまとめてみた。(見やすいように、チャネルごとに色づけしてある)すべての時間は私の現地時間で、2010年8月1日の午前0時から午後11時59分までを記録している。

0:00am: 日付が変わる。今日から8月だ!
0:12am IRC: deltaがシーンL20のディレクションで問題にぶつかる。これはCG1枚("ltrni.png")で表現されるはずのシーンだが、今使える画像の中にはこのシーンにふさわしいものがまったくない。(動きのない画像で処理するには会話が多すぎるため)状況はどうしようもなく行き詰まっていて、deltaは誰もこの問題を予測していなかったことにいらだっている。私が彼と対策について軽く話をしていると、その最中にIRCに入ってきたSilentcookが話に加わる。3つの選択肢が上がる。もっと絵を描いてもらうか、会話部分を別のシーンに移すか、deltaが立ち絵を使ってディレクションができるように背景を新しく作るか。SilentcookがCGの下絵を彼の友人に頼むという第4の案を出すが、極めてKSらしくない対応であることから多分採用されないだろう、ということで却下される。結局第1の案プラス多少の手作業という、アドリブに富んだ結論となった。
0:46am SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン2100。deltaが"ltrni.png"に手を入れ、同じ絵の昼間のバージョンとよりマッチするようにする。一つ前の問題への対策の一部。
0:49am IRC: deltaがリリールートAct 3の素材の状況に満足していると表明し、Climaticに彼が描くはずのCGを完成させるよう急かす。Cliematicは、その絵のことならdeltaはすでに承認したと主張する。(deltaはしていないという)私たちはもう2ヶ月半も描きかけのあるCGについて笑いあい、議論は素材の状況についての一般的な話題に移る。笑美ルートについては渋い顔をしっぱなしだ。(ちょっと問題だな)
0:56am IRC: deltaの窮状を把握するためにシーンL20のスクリプトを読み進めていると、deltaがいくつかの単語の使い方を取り上げ、異議を申し立てる。( 実生活で「変態("perverted")」なんて言い方するか?).
1:05am IRC: [禁則事項]について、一通りフィードバックを聞いて回る。もうすぐ完成するのと、その興味深い成り立ち上、完成したと承認された後に誰かが致命的なミスに気付く、ということが起きないようにするのが非常に重要なためだ。deltaとclimaticがフィードバックを提出し、私はそれを確認する。
1:20am IRC: 私は物書きの気質を持つ人間であるので、deltaがさっき指摘した「倒錯した」という単語の使い方が引っかかっていた。それで一般的な言葉の選択の事例、特に引っかかりやすくて、アニメというサブカルに首まで浸かっている人種には一発でわかるようなフレーズの使い方について議論を始める。チャンネルでアクティブな4人全員が参加する。deltaは彼が言うところの「アニメ主義(animeism)」は除去する方針を強く支持している。climaticはどちらかと言えば賛成し、それはファンへの迎合だと考えている。(Silentcookが、描く側より読む側の方がそれで満足している、と指摘したのに対し)私は正直決められない。( 俺の中のアーティストは全部ぶっ壊しちまえと言っている。でもそれが楽しいという人がいるならそれは良いことだと思う。)私がKSで書いた中で一番出来のいい文は私が2年と4ヶ月前に書いた文だ、とみんなが言ってくるので、私は鬱になって寝る。ディレクションに忙しいdeltaと、編集をしているSilentcookは放置。
2:31am SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン2101: この2時間でmoekkiが"ltrni.png"の改良版をいくつか描いたので、deltaがこの修正と、彼の手元にあったリリールート向けのHCGのバリエーション11枚をアップロードする。

2:32am IRC: Surikoがログイン。絵描きの女子達に乗せられたのが見え見えだが、うちのサーバにお絵かきアプリをインストールできないかとdeltaに尋ねる。deltaは氏ねと返して一切の関わり合いを拒否し、続いて大体どうしてお絵かきアプリなんてものが必要なのか、と問い返す。少々ネガティブな回答にひるむことなく、Suriko自らインストールを行う。
3:44am SVN: SilentcookによるKatawa Shoujo リビジョン2102: SCがシーンR18を編集したので、他の編集者と私が見られるように変更分をアップロードする。
4:12am IRC: deltaが"ltrni.png"のサイズの大きさに恐れおののき、もっとマシなサイズに圧縮したいと考える。それとSurikoに、彼が書いた2行のテキストがスクリプトを追加すると意味をなさなくなるので、とにかく削除せよと伝える。
4:37am SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン 2103 : deltaがシーンL20にディレクションを行い、関連する"ltrni.png"のイベントCGバリエーションも合わせて、全員が確認できるようアップロードする。シーンに対するディレクションの完了はかなり大きな出来事である。これによりシーンそのものが確定するためだ。ここでdeltaがコミットしたものが、完成したゲームにそのまま反映される可能性は非常に高い。
4:40am IRC: IRCでアクティブな開発者達が、シーンL20のディレクションにコメントを付ける。
4:42am SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン 2104 : deltaがpngcrushで圧縮したシーンL20用の"ltrni.png"をアップロード。あまり小さくならず、deltaは満足していない。
8:23am IRC: A22とSurikoが、もっと気合い入れて作業するために3人目の開発者を採用することについて話し合う。
11:58am フォーラム: Surikoがお絵かきアプリについてのスレを立てる。
0:23pm IRC: Surikoがお絵かきアプリのインストールを完了。A22がどうしてこんなもんを入れやがったのかと尋ねる。
0:32pm フォーラム: Surikoがお絵かきアプリについての公開スレを立てる
2:32pm IRC: 私がログインし、どうして今更お絵かきアプリなんて入れたのかと聞く。
2:38pm IRC: 私がいない間に、[禁則事項]の最初のバージョンが完成した。かなりいいと思ったので、Surikoと軽くそれについて話をする。うちのftpを探し回っていたら、サーバーのログが見つかる。ログ上の数字が非現実的なほど大きい。午後中ずっとその解析をして、なんとか意味を見いだした。どうやらKSのウェブサイトは思っていたよりずっと負荷の高い状態にあったらしい。そしてゲーム自体も思ったよりはるかに多くダウンロードされていたようだ。
2:42pm shimmie: AuraがShimmieに画像1758をアップロード。私がフォーラムのPM(訳注:プライベートメッセージ)で二次創作の画像を受け取った。多分4chanのオリジナル画像スレからのものだ。中身は笑美とWorking!!のぽぷらのクロスオーバー絵。
3:09 pm フォーラム: 開発スレに[禁則事項]について書き込む。
3:10pm IRC: 3つの議論が同時進行する。A22はSurikoと開発者の新規受け入れについて話を続けている。私は[禁則事項の続き]について下準備をしないといけないことに気付き、SurikoとA22からのフィードバックを得つつ[禁則事項]について議論する。
4:18pm IRC: [禁則事項の続き]について、私の作業を終わらせようと必死になっている。ちょうどよくdeltaがログインしてきて、"ltrni.png"の圧縮について彼が思いついたアイディアを作り込み終わったら手伝うと言ってくれる。
4:20pm フォーラム: deltaが[禁則事項]についての私の書き込みにレスをつけ、お互いにフォーラムでいくらかやりとりをする。
4:42pm SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン 2105: deltaが"ltrni.png"の新しいバージョンをアップロードする。ファイルサイズは大幅に小さくなった。成功!
4:43pm IRC: deltaと私が[禁則事項の続き]について長々と議論する。多くのことについてブレインストーミングを行い、その後私が満足して書き始めるまでネタを拾い集めて圧縮していく。あと昨晩私が寝た後にdeltaが終わらせたL20のディレクションを確認し、気に入ったと彼に伝える。
5:37pm SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン 2106: deltaが新しい効果音ファイルと、スクリプト内の実装をアップロードする。weeeがこれを入れろとdeltaにせがんだのだが、deltaは気に入らなかったようだ。(リビジョンのコメントに>: |という顔文字が入っている)
5:43pm 公開IRC: Novelstreamが公開IRCでネタになり、VNの配布・各種VNエンジン・他の開発モデル・開発コミュニティ・クソの投げ合いに関するゆるくて長い議論が始まる。
6:04pm IRC: climaticがログイン。彼に琳ルートの新規CGの塗りについて尋ねる。具体的な話を簡単にしてから(ほとんどの場合、彼は自分のやりたいようにやってしまう。それでとてもうまくいっている。)彼は作業に入る。
7:38pm 公開IRC: さっきの議論がようやく終わる。
8:26pm IRC: このブログ記事のアイディアを話題に出し、積極的ではないがおおむね合意を得たので書き始める。
9:20pm SVN: SilentcookによるKatawa Shoujo リビジョン 2107: SCがシーンR18を書き終える。
10:45pm SVN: deltaによるKatawa Shoujo リビジョン 2108: deltaがリリールートのHシーンのディレクションの準備のため、CG素材(リビジョン2101でアップされたもの)の整理をし、スクリプトとコードファイルに仮のエントリを作る。
10:56pm shimmie: climaticがShimmieに画像1759をアップロード。私が頼んだCGを描かずに、おっぱいを描いていたようだ。
11:13pm IRC: [禁則事項]は仕上げ段階に入っていたので、各Actのタイトルカードの件も含めてdelta、climaticと話し合う。climaticがこの記事の下書きを読んで、面白いと言う。
11:14pm フォーラム: [禁則事項]の進捗について書き込み、Pimmyが挙げた問題についてのコメントを求める。
11:38pm IRC: 諸々についての簡潔な議論。たとえば琳のAct2、各Actのタイトルカード、手が冷たい件、もっとがんばって作業する件など。climaticが先だって着手したCGの途中経過を見せる。moekkiが作業中の笑美ルートのCGを見せる。CGには致命的なミスがあり、どうすれば上手く直せるか全員で考える。[禁則事項]の問題については、困ったことにPimmyがオフラインなので未解決のまま放置。この件は極力急ぎたいのだが。
8月2日 0:03am: 日付が変わったことに気付いたので、この1行を書いてブログに投稿する。

かたわ少女の24時間はご覧の通りだ。結構典型的な1日だと思う。この日は普段に比べると多少はアクティブな日だったけど。とはいえ、みんな活動していない日だったら、このブログ記事は超つまらない記事になっていただろう。日曜日だったので誰も仕事や学校がなかったし、deltaがディレクションを進めていたのでSVNもアクティブだった。(SVNのアクティビティは全体でも一番大きい)Surikoはあのお絵かきなんとかをインストールしたし、IRCも多少アクティブだった。公開IRCチャンネルは記録するに値しない、明らかに関係のない会話が多かった。誰かが作業をしたけどその話をしていなければ、それもここには表れていない。

-Aura

2010年7月28日水曜日

Babycastles インディーゲームアーケードでKS展示




来月ニューヨーク市でインディーゲーム専門ゲーセンのBabycastlesがHardcore Feelingsというショーを開催する。ビデオゲームジャーナリストMatt "Fort90" Hawkinsが選出したプレイアブルなインディーゲームタイトルを取り上げるという内容だ。何がすごいって、かたわ少女 Act 1が展示タイトルに選ばれたって事だ。近所に住んでいるなら、ぜひ見に行って欲しい。

8月5日に開催されるオープニングナイトのパーティでは、チップチューンアーティストのGLOMAGと、3DパズルゲームSuper Hypercubeがフィーチャーされる。ただし来るのが遅い人たちのために、Super HyperCube以外のゲームは8月いっぱい展示される。

展示タイトル:

SUPER HYPERCUBE
Kokoromi and Polytron

CALVIN & HELLEN'S BOGUS JOURNEY
Hellen Jo / Calvin Wong / Derek Yu

Untitled
Deth P Sun / Cactus

RESCUE THE BEAGLES
16 x 16

KATAWA SHOUJO
Four Leaf Studios

LOVE LOVE 2
TYO / Seitron & Art Inc

場所:
Silent Barn
915 Wyckoff Avenue
Queens, NY

2010年7月15日木曜日

Four Leaf Studiosのしくみ



いったいKSはどうやって作られているのか? 日々の開発はどんな感じなのか? 前にもこういうことについて書いてみようとしたことがあるけど、正直言って、このチームが動くしくみをわかりやすく説明するのはとても難しい。私たちは極めて有機的で、ダイナミックで、はっきりした形を持たないグループだ。同時に、自分たちが活気がなくて、でたらめで、脳天気すぎると感じることも多々ある。ちょっと矛盾しているけど。このチームの根源的な部分として私たち自身が受け入れるに至った、その複雑さや突飛さを隅々まで語ることは私にはできない。(もちろん、やってみるつもりなんてまったくない。)それでも読者諸兄のために、いくつか語ってみようと思う。私自身もチーム全体への理解を深めることができるかも知れない。それじゃ行ってみよう。

私たちの作業の中で、二つの主たる課題がある。プロジェクト自体の膨大な規模と、それに関わるたくさんの人々をまとめていくことだ。こんなデカい仕事をこなす能力なんてあるわけがない、とこのチームの誰もがためらうことなく認めると思う。それでも、どうにか作業をこなしている。言うほど簡単じゃないってだけのことだ。私たちの作業の進め方には、厳密な上下関係のないものがほとんどだ。(そういうやり方をするために必要な開発者がいないだけかも知れないけど。)全員がとても明確に定義された作業を受け持っていて、各自がほぼ一人で取り組んで完成させる。もう少し広い範囲の責任を負うケツ叩き役が何人かいて、怠けている奴にもっと働けと定期的に催促する。でも厳しい締め切りをもうけるのは、こういうプロジェクトでは明らかに無理がある。具体的なやる気の種がなければ、目標を追いかけ続けるのはとても辛い。義務感、仲間意識、情熱等々は良いものだし、私たちにやる気を与えてくれる。でも開発地獄という海のど真ん中にあって、はるか彼方にある陸地が遠すぎると感じるときもある。とにかく、みんなそれぞれに仕事があって、それぞれのペースで完成に向けて作業をしているわけだ。

理屈の上ではこのとおりだ。実際には、KSのことや、自分たちのアイディアや手法について議論したり、ゲームのいろんな部分に対するフィードバックを出したり受け取ったりすることに大量の時間を費やしている。

アイディアや持論についての議論は一番オープンだ。たいていの場合、予想もしなかった洞察や新しいアプローチにつながって、ゲームの出来がよりよいものになる。一番ストレスと無縁なタイプの議論でもある。しかもたいてい、結構楽しい。この段階では、他の何にもまして実用性と実現可能性をとても重視する。完成したゲームがどのような形になるか、私たちには非常にはっきりしたビジョンが見えている。作業の途中経過について話すことは時折、任意に行われる。普通、誰かがどう進めていいかわからないとき、あるいは二人以上の人間の間で意見の不一致があったときに、こうした議論が始まる。関心のあるメンバーが相互に討論を行い、合意に至るか、一番利害の大きい者、あるいは一番意見に説得力がある者が他のメンバーを押しのける。(ほとんど起きないけど、)完全な行き詰まり状況を打開する手段は、他にもいくつかある。イラストは未完成であっても非常に把握しやすいので、他の分野に比べると作業中の段階での議論がとても多い。素材(asset)(ゲーム中の要素のこと。シナリオの一片、完成したイラスト、BGMトラック、スクリプトの入ったシーン等)が完成したら、興味のあるメンバー全員がコメントをつける。時には無理矢理にでも意見を出させないといけないこともある。発言の少ない開発者の場合は特に。このフィードバックは賞賛から承認、重箱の隅つつきから、全面的かつ暴力的な批判の嵐(最悪の場合は同時に複数から)まで多岐にわたる。さらに手直しが行われ、関係者全員が満足したら、完成したと認められる。(ただ実際には何も認められたわけではない。誰ももう反対していない、少なくとも文句を付けるほどではない、というだけでしかない。)ゲームに採用される素材が、一人だけの手で完成することはほぼありえない。どんなものも、いずれは他のメンバーが手を付ける。絵描きたちが相互に絵に色を塗ったり手を加えたり、編集者が全部のスクリプトを編集したり、ライターがお互いに手助けし合ったり。それからディレクションはあらゆる要素に影響を与える。等々。大事なことは、みんなが満足するものなんて存在しないということだ。何が誰の基準に従っていなきゃいけないか、という非常に複雑なパターンがここには存在している。でも私たちはみんな、KSのようなものに関わるならギブアンドテークが大切だという教訓を学んでいる。全てが自分の思い通りになっていなきゃいけないわけじゃない、ということを認めていい場合もある。こうやって欲しいと思っていることが、現実的には不可能だということを時には受け入れなくてはいけない。基本的に、全てのメンバーは等しく創作的な自由がある。開発の議論を通じて、私たちはこの創造力を一つの方向にまとめようとしている。私たちはKSの最終的な見た目が、15人の明らかに個別のメンバーが、一つの統一された発想にもとづいて作ったかのようになればいいと思っている。

で、どうやってこれだけのことをやってのけるのか? 5つの基本的な開発「ツール」がある。基本的に、ゲームデータや情報、コミュニケーション管理の手段でしかない。フォーラム、IRC、MSN、SVNとTracだ。

どちらかといえば……自由形な公開IRCチャンネルと違って、開発IRCチャンネルは開発以外の話は御法度だ。KSと直接関係のない議論が起こることも時にはある。たとえば一般的なVN開発についての話はしょっちゅうする。メタな議論もたくさんある。しかし行き当たりばったりの雑談や脱線は許容されない。このことから、誰かが議論したい話題を持ち出さない限り、チャンネルは完全にしんでいると言うことだ。議題が上がったら、参加できるメンバーは活性化して意見を出す。IRCは間違いなく、このプロジェクトで使われている中でもっとも厳しく、率直で、直截で、もっとも便利なツールだ。この文章を書いている瞬間にも、かれこれ50分ほど続いているリリールートのあるHCGにおける久夫のペニスについての議論をだらだらと追いかけ、たまに書き込みをしている。

重要な問題、特にちゃんとした記録を取っておく必要があるものは、フォーラムで処理する。メンバーは様々なタイムゾーンに散在していることと、IRCで手当たり次第に流れる会話にくらべてフォーラムの投稿はきちんと簡潔に書かないといけないということから、実際のフォーラム上の議論は実に体裁が悪い。永続性が必要なときにフォーラムを、活発な議論をするときはIRCを使う、と言えるだろう。一対一の会話の多くはMSNでのインスタントメッセージング上で行われる。私たちの多くは単にダベり続けることも好きなので、これにはたいていは関係のない話題についてのおしゃべりが含まれる。他に比べてずっと消極的な開発者もいる。特定の話題についての話しかしない者もいる。みんなそれぞれに独特の性格を持っている。時が経つにつれ、各々が他のメンバーとどのように接するのがベストか、大なり小なり学んでいった。しかしいかなる意味でも、自分たちが完璧にそれを身につけているという言うことはできない。性格の衝突、誤解や軋轢はしばしば起きる。一部のメンバーは別のあるメンバーとほとんど話をしない。要するに、私たちが形作るネットワークは全員が全員とつながっているような完璧なものじゃない。むしろ、全員が自分の関わっているべき、そして関わっていたいメンバーとつながっているんだ。(誰か4LSのメンバー相関図を作るべきかもなwww)これは有機的成長、進化と適応の事例でもある。みんなそれぞれにチームの中で居場所を見つけ出している。

SVNはバージョン管理システムで、これのおかげで15人以上の4LSメンバーが一つのプロジェクトで同時に作業をすることができる。つまり、これはKSのマスターバージョン(それとリビジョンと呼ばれる、過去の全てのバージョン)を格納していて、新しい作業が完成したときに全てのメンバーが最新のデータを持っていることを確実にする。平均して毎月60から80のリビジョンが作られる。つまり、KSプロジェクトでは新しい素材や改善・修正の追加が一日に二、三回あるということだ。もちろんこれは均等に起きるわけじゃない。一週間くらい何も起きないこともある。一方、たとえばAct1リリースの前の週には一日に15から20のリビジョンがあった。

Tracは一番使用頻度の低いツールだけど、リリースの前には非常に使える。これは作業、バグ、課題や問題の経過を追いかけるツールで、言ってみれば巨大なTo-Doリストだ。私たちが気になっていて、KSが完成してリリースできるようになるまでに直さないといけないことをこれに全て記録している。これにはWikiもあるけど、ドキュメンテーションについてのKSプロジェクトの特徴のためにほとんど使っていない。(まったくもって最悪な特性なので、自分のプロジェクトでは絶対真似しないように)設定とか、キャラとか、作業手順とか、とてもとても多岐にわたるあらゆる情報が、きれいなドキュメントファイルのような形ではどこにも書き残されていないのだった。代わりに、そうした知識はもう何年もの間築き上げられた知識の巣のように、全てメンバーの間で共有されている。たとえば、公式な経歴がきちんと作られているキャラクターは一人もいない。でもその情報に関係のあるメンバーは、その頭のどこかにそれを記憶しているのだ。

自分が今書いたものを読み返してみて、ため息をついた。またしても、表面的なこと、全ての出来事の機械的な仕組みばかり書いて、この集団の本質を捕らえることがまるっきりできていないような気がする。それが当然なのかも知れない。現実には一日一日は異なっていて、毎週新しいことが起きて、毎月何かしら破滅的かつ見事な大失敗に見舞われる。でも私たちは自分たちなりのやり方でこの流れに身を任せている。一致団結して、ともに作業し、笑いあい、ふざけあい、怒りあいながら。なぜなら私たちは他のやり方を知らないのだから。

-Aura

2010年6月27日日曜日

(国際的)かたわ陰謀

他言語への翻訳がかなりの数になってきたので、そろそろその辺について少し語るときだろう。(少なくともAuraがそうしろと私に催促している)ただ問題は、あまり語ることがないって事だ -- 実際の翻訳作業は当然ながら大変な作業量だけど、翻訳を組み込む手順そのものは結構簡単だ。KSエンジンには、翻訳を実現するための拡張機能が最初から組み込んである。なぜかというと、KSに関わり始める前は、私はビジュアルノベルの翻訳に活発に取り組んでいた。そして日本製のエンジンを日本語以外の言語でうまく動かすことの難しさに苛立っていたんだ。どっちかというとその腹いせに(それと、日本語オンリーという考え方を英語オンリーにそのまま置き換えたくなかったために)、最初から国際化というアイディアをつらつらと考えていた。そして、これからあらわれるかも知れない翻訳者たちが、せめて技術的には苦労をせずに済むようにエンジンを作った。もちろん、多言語統合エンジンを作ったもう一つの理由は、実際の翻訳の中身は私たちにはほとんどわからないとしても、自分たちが翻訳作業により近い立場に立って、何かあったらインプットが得られる、ということだ。少なくとも、他言語訳が非公式なパッチに依存することはない。もしそういうものが出てきたら、私たちとしては黙って見ているわけにはいかない。今のところ、この試みはうまくいっているみたいだ。そしてAct1のフランス語訳以後も、翻訳が続くことを願っている。もちろん、完成版の翻訳作業は全く別の話。でもそれは実際に出来上がってから取り組んでいくつもりだ。

ところで、パリのJapan Expoとは別に、もう一つコンベンションがある。KSスタッフのPimmy、 IRC/ファンアートの常連VCRDoomfest が、7月1日からロサンゼルスで開催されるAnime Expoのアーティストテーブルに参加する。もし行く方がいたら、一言挨拶してほしい。VCRの限定生産 ピンズをゲットするのもいいかもしれない。そしたらナベシンにサインしてもらうんだ。そうそう、KS 関連のアイテムをまるっきり関係ない日本人のオタ系セレブにサインしてもらうって、すごくいいよね。


- delta

2010年6月25日金曜日

「あらあら」の訳は"Eh bien, eh bien"です:A1V4リリース

かたわ少女Act 1 v4がリリースされました。最大の変更点はKawa Softの提供によるフランス語訳の追加です。Kawa Softは7月1日にパリで開かれるJapan Expo(ホール5A, Z457)で、彼らのブースにてこれを公式に公開します。近くの方はどうぞお立ち寄りください。あと、彼らがフランス語訳を行った素晴らしいノベルゲーム、True Remembranceも同時に公開されます。ディスク配布も行う予定です。あとできたら、小島(一言多すぎ)秀夫もコンベンションに来ているので、KSのCDにサインしてもらってください。成功したら写真撮ってくださいね。

(訳注:True Remembranceの日本語サイトは こちらです。

これ以外にV4には新規のコンテンツはないので、V3をプレイ済みでフランス語を読めない方には、あまり新味はありません。ただ、いくつかのシステム/UIの改善と、中国語訳の3.0.1パッチが含まれています。変更一覧はChangelog を参照してください。

パリはちょっと遠い、という方はこちらのリンクからAct 1 v4をダウンロードしてください。

直接ダウンロード:

DDL:
Torrent:
いつもの通り、このリリースは過去のリリースを置き換えます。トレントのシードにご協力をお願いします。

- delta

2010年6月10日木曜日

Manifestにて、かたわ少女パネル開催


やあみんな。CrudとSurikoがManifestアニメコンベンションに参加して、かたわ少女のパネル(トークイベント)を開くことになった。パネル開催に招待してくれたCemexに感謝します。

コンベンションは8月20日から22日まで、オーストラリアのメルボルン(会場はメルボルン・ショーグラウンド)で開催される。パネルは8月22日の日曜日にある。

コンベンションの詳しい情報はこちらの公式サイトでどうぞ。
http://www.manifest.org.au

2010年6月7日月曜日

喪失と孤独

駆け出しのライターは、よく「自分の知っていることを書け」とアドバイスされる。まあ、私は障害のことはよく知らない。自分には障害はない。知人に障害を抱えている人もいない。障害について書くのは難しい。これから残りの人生を全て障害の研究に費やしたとしても、せいぜいそれがどんなものかを大まかに想像することしかできない。なので、他のことについて書く方が簡単だし、それが私のしていることだ。私が琳と久夫のことを書くとき、他にも様々なことについて書いている。結局、私が実際によく知っていることについて書いたりすることもある。だけどそれでも、私は失うこと、孤独、そして障害のことは想像で書かなくてはいけない。

障害というのは、いくつかの性質がある。能力の喪失であり、四肢の欠損であり、完全な人間という定義を満たさない人々を分類するものだ。辛辣で不公平な表現だが、悲しいことにそれは事実であると同時に、事実とはほど遠くもある。人間を定義するにあたって、肉体はどれだけの割合を占めているのか? 古い問題だ。

人がどのようにこれを体感しているかを書くのは難しい。正面から立ち向かわなかったとしても、それはキャラクターからゆっくりとにじみ出てくる。最初から最後まで、ロープの上でバランスをとり続けているようなものだ。キャラクターは当然、自分の障害を意識しているに違いない。でもそのことしか頭にない、というのはちょっとやりすぎだ。障害のおかげで、キャラクターはいろいろな日々の営みに余分な面倒を背負っている。だからといって、その営みがまったく出来なくなるわけじゃない。障害はキャラクターを形作るけど、キャラクターを定義するわけじゃない。久夫は何かを失ったけど、それはどちらかといえば抽象的なものだ。久夫の障害は目で見ることができない。自分の限界を忘れない限り、身体的な制約はあまりない。だけど久夫は自分の新しい境遇に慣れるまでにとても苦しむ。彼は意気消沈し、悩む。多くの読者が驚いた、Act1の一部のシーンで見られるように、彼の気分は大いに移り変わる。私は生まれつき障害のあるキャラクターも書いている。彼女はそもそも腕も手も持ったことがないし、そのことを特に苦にしているようでもない。彼女の穏やかさは久夫のほぼ正反対だ。そこが難問なんだ。琳は、そもそもそこにない腕を失っていることを、どこまで気にしているんだろう?

何かが存在しない、ということを説明するのはとても難しい。

自分のキャラクターに完全に共感できないとしたら、キャラクター同士で共感し合うことはできるのだろうか? 表向き、それはこの物語の舞台である架空の学校が存在する理由の一部でもある。あの場所に孤独はあるのだろうか? あるに違いない、と私は思う。キャラクターたちはティーンエイジャーで、そして人間である以上、世をはかなむ気持ちや、存在することの憂鬱さもあるに違いないんだ。そして、このキャラクターたちはそれを私よりももっと純粋で強烈な形で感じているんだろう、と私は想像せずにいられない。夜の山久学園の寮の静寂を思い起こしてみる。メロドラマ的に一人で憂鬱な気分になるには絶好の時間だ。月明かりが寮の部屋と、暗い物思いや不眠に苦しんでいるその住人を照らす。隣の部屋では別の生徒が同じ月を見て、多分同じようなことを考えている。その隣の部屋では、また別の生徒が。百の小さな部屋に、百のちっぽけな人間たち。みんなつながっていて、それでいて離ればなれ。こういう考えを持っている時点で、私はすでにロープから落ちてしまっているんじゃないか、そして本当はそもそもロープなんてなかったんじゃないか、という気もする。障害なんてものはないのかもしれない。これはすべて、人生における苦難と、私たちがいずれ経験することになる孤独感をあらわす壮大なメタファーでしかないのかもしれない。

「ぼくらはこうしてそれぞれに今も生き続けているのだと思った。どれだけ深く致命的に失われていても、どれほど大事なものをこの手から簒奪されていても、あるいは外側の一枚の皮膚だけを残してまったくちがった人間に変わり果ててしまっていても、僕らはこのように黙々と生を送っていくことができるのだ。手をのばして定められた量の時間をたぐり寄せ、そのままうしろに送っていくことができる。日常的な反復作業として――場合によってはとても手際よく。そう考えると僕はひどくうつろな気分になった。」
(訳注:「スプートニクの恋人」村上春樹 より)

--Aura

2010年6月5日土曜日

宇宙の奇跡 II

リリールートと同様、笑美ルートの第2稿が書き上がった。
担当ライターのHivemindのコメントをどうぞ:

思ったよりも時間がかかったけど、出来上がったものはきっとみんな気に入るだろう。たぶん。
シナリオはまだ完全に仕上がったわけじゃないが(間違いなく見直しが入る)、
どういう形であれ完成したものを見るというのはいいものだ。
ここから先はすんなり行くだろう。

話は変わって、私たちのFolding @ Homeチームが250位のラインを超え、この記事を書いている時点で247位に達した。
みんなおめでとう。

お祝いに、Moekkiが描いた「畳んでいる」笑美のスケッチをどうぞ。


2010年5月31日月曜日

モチベーションについて




雑誌Wiredの最新刊で、面白い記事を読んだ。その記事は雑誌のウェブサイトでも読めるので、ぜひ読んでくれ。(少々簡略化されたバージョンかも知れない。確かめていないが)

※リンク先記事要約:[人を働かせるのに、アメやムチが一番効果的だとか、唯一の方法だというのは誤った常識だ。自身の喜びのためというのが、最も長続きするモチベーションになる。これまで近代人の余暇時間はテレビなどで受動的に消費されてきたが、携帯電話やコンピュータによって、能動的な生産も行えるようになった。人は自身の喜びのために創造的な活動を行うので、教育を受けた人間の余暇時間は1つの資源である。]

さて、戻ってきたかな。記事と私たちにどう関係があるのか分かったかも知れないね。彼らが語ってることは、KSの(真っ黒で汚い)核心をまっすぐ貫いている。KSにはとんでもない量の工数――私たち開発チームのかけた時間――がつぎ込まれている。だが個人レベルでは、私たちがこのゲーム開発から得るものは多くないし、たとえ私たちがある日「やーめた」と解散を決定したところで、悪いことにはならない。だって、これまでに私が手に入れたものと言えばせいぜい、多少文章力が磨かれたのと、ネット上での微妙な名声くらいのものだから。ネットの果てに消えうせて、二度と現れなくても別にいいわけだ。じゃあ、一体なぜ、まだここにいるのか? 何が私たちを開発続行へと駆り立てるのか?

答えは明白で、それは冒頭にあげた対談記事で二人の著者が言わんとしていたようなことだ。三つ目のモチベーションがある。アメでもムチでもなく、その間のなにかでもないモチベーションが。私はビジュアルノベルを読むことは特に好きじゃないのに、それを作ることに魅力を感じる。満足感を得られる。15人くらいの仲間と目標地点について語り、問題解決に取り組み、批評して、批評される。頭に浮かんだことを言葉にすると、誰かが何かを読み取ってくれる。そういったことに大きな喜びを感じる。落ち込んで憂鬱で、物事が上手くいかない時でも、その奥底には刺激がある。あの記事は正しい。金のためならこんな事したいと思わなかっただろう。何かのトレーニングとして強制された場合でも同じだ。面白いからこんなことをしているんだ。

娯楽などを受動的に消費する動機は何か? 何もないだろう。受動的っていうのはそういうものだし、実際あなたがテレビを見るのにたいした理由はいらない。(文化的に、ここではアニメやマンガやビジュアルノベルを例に挙げるほうが適切かもしれない)そこに満足はあるのだろうか? あるとは思うけれど、能動的な生産に伴うものとは比べ物にならないかもしれない。確かに難しいゲームをクリアしたり、『バフィー』の世界に浸るのはとても楽しい。(後者についてははっきり知らないけれど)しかし数年後、ゲームのハイスコアを更新したときのことを覚えているだろうか? 大好きだった『バフィー』シリーズの第4シーズンの事を覚えているだろうか? メディアは似たようなものを次々に量産し、その中に埋もれていく傾向にある。能動的な参加というのはいつまでも消えないものだ。たとえばウェブサイトを開くとか、tvtropes(※創作物によくあるプロット、シチュエーション、台詞などを分析した記事が集まるwiki系サイト)の記事を編集するとか。

インターネットは、それ自体が例の3つ目のモチベーションに基づいて出来ている。商業サイトの何十倍もの非商用サイトがある。その幅はといえば、Wikiから始まってSourceforgeまで、さらにディープなところでは、15年前のゲームを黙々とリメイクしている5人組がいたり、障害がある男女のラブストーリーを、話者が世界人口の 0.6%もいないようなマイナー言語に翻訳しようとしていたりする。ついてくれているファンの中でも私がとりわけ好きなのは、影響されて自分でも何かを作ろうとしてくれる人たちだ。ファンフィクションや、ファンアートや、翻訳プロジェクトや(どれほど大変なんだ? 翻訳している人たちは大好きだ)、あるいは自分自身ビジュアルノベルを作ろうという挑戦や、コスプレなど、なんでもだ。そこにはつながりがある。それは、生気のない目でポテチを食べながらだらだらテレビを見ている人とテレビ番組のプロデューサーの間にはないものだ。(もちろん、エロエロなLOSTのファンフィクションも沢山あるのだろうけれど)みんな自分自身の『何か』を見つけるべきだ。興味を引かれる、テレビの再放送を見るより楽しい何かを。ここで「でも何もスキルとかないし」なんて言おうものならお尻ぺんぺんの刑だ。そんな弱音は許さない。やって覚えるんだ。私たちもそうやってきたよ。初めて作ったら酷かったって? じゃあそれは捨ててもう1回だ。私たちもそうやってきたよ。

私はKSの開発に参加したときのことを今も覚えている。たいした目標もなかった。ファンもついていなかった。ビジュアルノベルをどう作るのか見当もついていなかった。振り返ってみれば、あの時あのプロジェクトを選んだのにはっきりした理由はなかった。その先何年もの間たくさんの時間を費やす対象なのに、だ。ただ面白そうだと思っただけだった。メディアを消費するのに使っていた時間を、ものを作り、それについて語り、名前も知らない人に怒鳴られる時間と交換した。その価値はあったかって? あった。あまりに面白すぎて、こういったことに気付かずにいられなかったのだから。

- Aura

2010年5月19日水曜日

翻訳記事の更新 など

2ch, twitter, ブログと、ネット上の大反響に大変驚いています……

本日、過去の英語ブログからの翻訳記事を追加しました。

熱狂的ファン

各キャラについての開発者からのコメントとなっています。よろしければごらんください。


もう一つ小ネタと言うことで。

ファンイラストをフォーラムに投稿し続けた結果、開発グループに絵師として
採用されたPimmy氏の作った動画です。笑美と優子の新規立ち絵もPimmy氏が描いています。

Act1をプレイされた方ならニヤリとするネタが満載ですので、ぜひお楽しみください。

2010年5月16日日曜日

不具合の修正

Act1 V3について、中国語版の金曜日のスクリプトに、英語版の文章が表示されてしまう不具合がありました。
以下のパッチで修正できます。

Windows
Mac OS X
Linux / プラットフォームに関わらず修正ファイルを手で書き換える場合

繰り返しですが、この不具合は中国語版以外には表れません。あなたが中国語に興味がないか、完璧主義者でないのなら、このパッチをあてる必要はありません。
いずれこの不具合をちゃんと直したリリースが出ることでしょう。

こんなミスは萌えで覆い隠してしまおう、ということでmoekkiがふさわしい絵を描いてくれました。

2010年5月15日土曜日

かたわ少女Act1の日本語訳リリース!



Four Leaf Studiosより、かたわ少女Act1 バージョン3のリリースを公式にお知らせします。この更新の主な追加点は、シナリオの日本語訳と、笑美・優子の新規イラストの二つです。また、いくつかの細かい改善・修正も含まれています。

バージョン3は以下のリンクからスタンドアロンのパッケージとしてダウンロードできます。バージョン 3のインストール後、バージョン1または2の古いセーブデータが動かなくなる可能性があります。これまで同様、従来のバージョンを置き換える torrentの
支援を歓迎します。

Linux torrent
Mac torrent
Windows torrent

直接ダウンロード

新規追加:
-日本語訳およびマニュアル
-笑美のイラストを刷新
-優子のイラストを刷新
-4LSスプラッシュムービーを追加
-Actのタイトルイラストを刷新
-一部の楽曲を再録
-一部のスクリプトを修正
-選択肢の手直し
-フローの不具合を修正


バージョン2のリリースと同様、このリリースは従来のバージョンをすでにプレイされた方にはお勧めしません。新しいイラストを除けば、英・伊・中文スクリプトへの変更は非常に些細なものです。もちろん、初めてプレイされる方にはバージョン3をお勧めします。皆さんがこのリリースを楽しまれることを願っています。完全版にもどうぞご期待ください。

関連して、先日かたわ少女Act1の1周年記念日が過ぎました。このばかばかしく、おかしく、そしてありえないプロジェクトにこれまで関わってくれた全ての人たちにお礼を申し上げたいと思います。フォーラムや、IRCで感想をくれた方、二次創作の小説やイラストを書いてくれた方、ヒロインにどうしようもなく惚れてしまった方、私たちの文章に笑い、涙してくれた方、イラストと音楽に放心した方、ウサギの巣穴から私たちの世界に飛び込んでくれた方々――みんな本当にありがとうございます。このプロジェクトを支えてくれる人々がこんなにいるということは、とても幸いです。

日本語訳プロジェクトより:

大変長らくお待たせしましたが、かたわ少女Act1 の日本語訳をお届けします。 これまで辛抱強く待ちつづけてくれた皆様にお礼申し上げます。 (Act1の一周年記念に間に合わせたかったのですが、残念でした……)

また開発スタッフの方々には、翻訳プロジェクトの開始から大いにサポートをいただきました。合わせて感謝いたします。様々な困難がありましたが、数多くの有志の方々の時間と労力を得て、ようやく完成させることができました。時間をかけた甲斐のある出来になっていると思います。

言葉の壁を越えた取り組みの成果を、皆さんにお楽しみいただければ幸いです。

2010年5月10日月曜日

日本語訳の進捗

日本語翻訳チームより、現在の進捗をお知らせします。

先日、翻訳済みスクリプトの最終チェックを完了し、
開発チームに提出しました。
現在開発チームでベータ版の準備を行っています。

ベータ版のチェックが終わり次第リリースとなります。数日中に完了の見込みです。
その際はまた当ブログでお知らせしますので、もうしばらくお待ちください。

2010年4月22日木曜日

進捗

リリールートの第二 稿が完成した。これで彼女のシーンは全て書き上がった。
もう少しここに報告するつもりだったが、結局できなかった。

さて、今から ぶっ倒れるまで飲んで来ようと思う。つまり仕事に行くってことだ
が。

-Suriko

ラズベリー味のアイス

『もし編集者の誰か が、「日本じゃラズベリー味のアイスキャンディなんて売っ てねーよ」とか言ってきたら、俺絶対そいつの家に夜中に押しかけて刺すから』

や あみんな、Silentcookだ。また皆さんを死ぬほどうんざりさせる時がやって来 た。前の私のブログ記事を本当に読んでくれた人(多分二人く らい?)は別とし て。お題は「この時期の編集作業における苦労話」だ。

さて、ラズベリー味のアイスキャンディーの件。これはある (能なし)ライター が実際に言った言葉だ。他人の文章を編集していて、下調べと言う作業がその恐 ろしい本性をあらわにしたとき、どれだけ とんでもない目に会うかという格好の 例だ。

私はKSの医療アドバイザーという(うさんくさい)栄誉に浴している。そもそも私 が このプロジェクトに参加を認められた主な理由もそれだった。もしあなたが何 か恐ろしい病状に苦しんでいる子供たちでいっぱいの学校を題材に文章を 書くと しよう。あなたは現代医学の進歩と現状、そしてそのせいでプロットが破綻する 可能性を少々気にしてしまうんじゃないか、と思う。

と いうわけで、専門家を見つけて、自分が書きたい題材について質問するのは実 に理にかなっている。少なくとも明白な間違いは避けられるし、多少のア ドバイ スで作品は大いに真実味を増すだろう。

そこで考えてみよう。あなたがビジュアルノベルのチーフ編集者という高い地位 に 就いたら、何が起きるか?

ご名答。みんなの文章を細かくふるいに掛けて、あらゆるディテールにこだわり まくることができる。

つ づりや文法の訂正、響きを良くするための文章の並べ替え、折に触れライター ・絵師・ディレクター間の連絡係、場つなぎ用スクリプトの代筆、矛盾の チェッ ク、その他のさまざまな雑務に加えて、あなたはなんでも知っている物知り博士 を目指せるわけだ。神様に検索エンジンの存在を感謝し よう。 でも残念ながら、全てが文章になっているわけじゃない。少なくとも、容易にア クセスできる状態にはなっていない。その上、誰かがふ らりとやってきて、とっ かかりを知らせてくれるまで、あなたが考えもしないようなことだってある。

たとえば、アメリカ人はパス ポートの写真を撮るときに微笑むが、ヨーロッパ人 はそうしない。知ってた? あるいは日本の一部の都市では、自家用車を買う時に駐車場を 持っているという 証明書を提示しなければならないことは? そういう事実があるということさえ知らないのに、それに関する情報を探そうと 考 えたりするだろうか?

そうだよ偏執狂、ゆっくりしていいぜ。しばらく付き合ってやるからさ。

え、アイスキャンディはどう したって? 日本に旅行に行く友達に一個買ってから『包み紙を持って帰ってこい』って頼ん だ。例のライターは脅迫を(まだ)実行していない ので、どうやら私は今のとこ ろセーフのようだ。

次回は翻訳についてダラダラしゃべるつもりだ、たぶん。今はAct 3のスクリプト を……

-Silentcook

熱狂的ファン

今となってはよくあることだが、私はゲームの人気だけでなく、思わぬ反響にいつも驚かされている。とりわけファンたちに、だ。ファンというのは素晴らしく、恐ろしく、そして奇妙だ。ファンたちは語ることが大好きで、物事を深く考察する。ファンのあるところ憶測があり、そしてまだAct1しか元ネタがないというのに、人々はストーリーやキャラクターを本当に深く読んでいる。一方で、キャラクターは深みのない類型にはまってしまいがちだ。琳は気まぐれで、笑美は子供っぽくて、華子は引っ込み思案で、リリーは上品、等々。最初はその事で私は落ち込みもした。こんなに単純なキャラを作ってしまった自分たちはどうしようもなくヘタクソだったんじゃないか、と思った。ただその後で、Act1に含まれていないストーリーや動機付け、その他諸々のことが、キャラに大いに深みを与えているんだ、と言うことに気がついた。というわけで、私、そしてファンたちがキャラクターたちをどう考えているかについて考えてみた。(ファンについては平均的な話をするけど……でもファンのことを一般化しすぎることはしたくない。ファンの皆さんにもキャラクターについて一般化して欲しくはないし。)


笑美と琳

笑美は琳の召使いではないし、琳だって召使いを必要としているわけではない。(現実の)先天的に腕のない人が、その足やつま先でできることを知ったら、あなたはきっと驚くだろう。服を着る、服を脱ぐ、トイレまわり、学校生活、食事(箸よりはフォークやスプーンの方が都合がいい)、等々……琳はこうしたことを、手助けなしで完璧にこなせるのだ。琳にできない、あるいは難しすぎることというのはどんなことなのか、必死に考えたことがある。確かに笑美はいろいろと琳を手伝っているけど、それは琳がそうした手助けを必要としているからではない。笑美がそういう世話をするのが好きなのだ。母性本能かも? 笑美は母親っぽいと言うより子供っぽいと見られがちだが、少し考えてみれば、笑美は年齢の割にはとてもまじめで責任感のある人物だ。

周りの人間に現実離れした反応を返すという最大の特徴のおかげで、琳は類型化の弊害を大いに受けている。私もこれは面白いと思うけど、琳をコミックリリーフのようにしたくはなかった。ただ、以前の琳はもっと気まぐれなキャラクターだった。彼女をもっと多面的なキャラにするよう、がんばって努力するつもりだ。


静音、ミーシャ、久夫

ミーシャは静音にとって唯一の、手話を知らない人々とのコネクションというわけではない。自分の母国語しか話せない人がいるように、聾唖者が必ず識字能力を持つとは限らないが、静音は読み書きができる。なので、久夫が手話を学ばなかったとしても、『プライベートな場』(あるいはあらゆる状況で)ミーシャがいないといけない、と考えるのはちょっと馬鹿げている。

読者の静音の態度や行動への反応は、私がリリース前に非常に不安に思っていたそのものだった。静音をAct1における中心的なキャラクターに設定して(A22は不満だったが)、むしろ悪役に近い立ち位置にまでしたのは私だ。(A22はさらに不満だったが、それでも真面目にシナリオを書いてくれた)いくつかのシーンでは議論も呼びそうなほどの強気な性格に、読者がしらけてしまう危険はあった。幸いそうなることはなかった。静音は人気の高いキャラクターになったようだし、多くのファンは彼女を本当に『つかんで』いる。


華子

華子の障害は本当に一つだけだろうか? 彼女は本当に山久学園に『属して』いるのだろうか? 彼女のようなひどい火傷はいつまでも残るものだが、山久学園が病院ではないということは忘れてはいけない。障害のない子供もここには通えるのだし、人混みの中で目立ってしまわないような環境にいた方が華子にとっておそらく具合がいいだろう。華子は静音とならんで、私たちが『うまくやった』と感じられるキャラクターで、読者からの反応はまさに予想・期待通りのものだった。


あらあら、うふふ

ははは、やれやれ。リリーか。ごく初期のシナリオでは、彼女はステレオタイプそのままのキャラクターだった。上品で、教養のあるほとんど完璧な天使のようなお嬢様。彼女が典型的なメアリー・スーであったことに気づいて、恐れおののいたSurikoはそのイメージからリリーを引き離そうと奮闘している。


ミーシャの障害

何か秘密をバラすと思ったんだろう? 悪いけどそれはない。私はただ彼女の障害についての、全くとんでもない推測をちょっと評価してあげたいと思ったんだ。みんなはライターがシナリオ中に何気なく書いた描写とか、通常の振る舞いから、とんでもなく複雑な仮説を立ててくる。すごいね。きっとみんなは本当のヒントを見逃してるんじゃないか……

何気ない描写といえば、そのいくつかは私たちが予想もしない方向で人気を得た。華子の床のタイル遊びもそうだ。これは多くの人々に共鳴したようだが、実をいうと、あれは適当に放り込んだだけだった。何故こんなに人気なんだ? 他に適当に盛り込まれたものとしては、廊下の背景にある絵画で、ちょっとしたミームになっている。教室のCGのカメオ出演者もそうだ。ああなんてことだ、みんながこんなにこだわるなんて思ってなかったんだよ。カメオ出演を今まで見たことがないのかって感じだ。どこかで見たようなキャラかなにかを見つけてニヤリとするくらいは、と思ってたけど、これはない。マジでない。


Four Leaf Studios:

私たちは薄情なろくでなしではなくて、実際KSのファンたちのことは大いに気に掛けている。というか、気にしないわけがないじゃないか? こんなにたくさんの人たちが、私たちの作り上げたものを体験して、それについて語り、そして考えてくれているのは嬉しいことだ。ただ、仮に開発者総勢20名しか気に掛けていなかったとしても、私たちはこのゲームを作り続けているだろう。私たちはKSを作るとき、常にその思いを持ち続けている。

-Aura

2010年4月1日木曜日

[ エイプリルフール] かたわ少女 アニメ化のお知らせ

タイトルの通り、私たちは以前からあるアニメーションスタジオとアニメ化について話し合ってきた。ようやく先方の公認を得て、これまでの舞台裏の事情をい くつか公開することができるようになった。
百聞は一見にしかずと言うが、まず彼らから送られてきた手紙の一つを公開する。



ご 覧の通り、スタジオディーンがかたわ少女のアニメ化ライセンスに関心がある旨、私たちに連絡を取ってきた。プロジェクトの全員が、おおむね短期間でこれに 合意した。
その後数ヶ月の交渉の中で、私たちは双方の利益になるようなライセンスの企画を立て、最初のキャラクターシートと脚本の制作が始まっ た。


私たちはスタジオディーンの芸術的なクォリティとスタイルに感銘を受けた。そしてほとんどトラブルも なく、宣伝材料がわりの短いパイロット版の制作が始まった。
まだこれを公開することは許されていないが、その中からいくつか静止画を公開する許可 を得られた。







みなさんも、私たちと同じくらいかたわ少女のアニメ化を喜んでくれることを願っている。
私 たちはゲームの開発と同時に、間違いなく最高のアニメを作れるよう、スタジオディーンと協力していく。
その間、引き続きいつものアップデートとお 知らせを続けていくつもりだ。

ありがとう。

-Suriko

2010年3月25日木曜日

ユウコ II:司書の逆襲

笑美のアップグレー ドに関する記事と同じ内容を繰り返してもいいのだが、長ったらしくなるだけだろうから、手短に記しておく。
Kamifishによるこれらの立ち絵 は、Act1の優子のグラフィックを丸ごと置き換えることになる。他の立ち絵の画風に合うよう、クォリティを上げたのに加えて、キャラデザイン自体にもい くらか手が加えられている。
IRCに常駐している人の中には、うっかりリークされてしまった際にこれを目にした人もいるだろう。

新 しいデザインを気に入ってもらえることを祈っている。

話は逸れるが、ゲームの開発はスムーズに進んでいる。リリーと華子のAct2はシナ リオ・CG・ディレクションが完了、つまり完成したということだ。
笑美のほうもほとんど完成している。加えて、新しいシーンやCGも随時制作され ている。

-Suriko
追記:Act1のキャラの立ち絵差し替えはこれが最後になる。

2010年3月3日水曜日

500,000ヒット

つい先ほど、この開発者ブログが500,000アクセスを記録した。
ファンのみんなが待ってくれていることに感謝するとともに、フルバージョンを 楽しんでもらえることを切に祈っている。それまでは、引き続き開発を進めつつ、目ぼしい進捗があれば随時報告していく。

500,000ヒット祝いに、愛するリリーのイラストを描いてみた。なぜ私がリリールートのライターであって絵師じゃないのかがよくわかるだろう。お礼なら、その ときIRCにいた他の開発者たちに言ってほしい。

2010年2月10日水曜日

誕生日おめでとう、リリー!

2月7日がリリーの誕生日だったので、Weeeによる晃とリリーのお祝いイラストを。

他にもお知らせがある:
あなたたちの多くがフォーラムやShimmie(そしてよく見ている方たちには、公式webサイトのスタッフページも)で見てきたであろう才能あるファンアーティスト、Pimmyが開発チームにアーティストとして加わった。おめでとう、Pimmy。

ゲームの開発は今も進行中で、背景やCGが着々と作られ、また各ルートも制作が進んでいる。いま一度、ゲームの完成を辛抱強く待ってくれている、すべての方々に多大な感謝を述べたい。

- Suriko

2010年2月8日月曜日

寂しいのかな~♪

例によって、KSの開発状況に関して言うことはあまりない。(私は今、Act2のリリールートを監督している。これが何らかの進捗を示していると思ってい たら、それは間違いです)しかし、いくつか触れておくに値することがある。現状をあまり詳しくご存じない方々の関心を引くかもしれない。

ペルソナ

Firefox 3.6がリリースされ(もしあなたがFirefoxをお使いなら、もう更新メッセージが出ているはずだ)、それにともなってペルソナ機能が標準搭載 されるようになった。これは要は、ブラウザのウィンドウ枠の壁紙機能である。作るのが簡単なので、好きなKSキャラが常時あなたを見つめているようにする ことができるわけだ。クールだろう? 実際はそうでもないだろうけど、とにかく、こちらをどうぞ:

ミーシャ
笑美
華 子
リリー

静音
SD版

琳のペルソナは例の壁画(つまりオッパイ)を含んで いて、そのため審査を通らなかったので欠品となっている。(気になる方、あるいは自分で作ってブラウザに突っ込みたい方のために、見た目はこんな感じ だった)。こ れ は 芸 術 な ん だ よ、こ の 石 頭 ! 新しいものを作ったが、それは承認待ちのまま止まってしまっている。承認されれば、私のアカウントのページで他のものと一緒に見られるようになる だろう。既存のものにも、いただいたフィードバックに基づいて、少し手を加えているが、たぶん同じIDのままになると思う。

抱き枕

気付いていない方のために書いておくと、KSのファンアー ティストたちの間では抱き枕の画像を描くことが流行している。これまで、華子を除いたほとんどの主要キャラクターが描かれ(脱がされ)、実際私もとても楽 しませてもらっている。いずれも厳密には職場で見ても安全ではあるが、いずれにしても障害少女(または野郎)たちのあられもない姿を眺めている現場を見と がめられたくはないだろうから、ご注意あれ。もちろんリリーの絵は例外。いかなる意味でも職場では危険である。

pimmy作:
ミー シャ
笑美

静音

climatic作:
リリー (繰り返すが、職場注意)

konflikti作(車 や 重 機 の 運 転 中 は 絶 対 に 見 な い よ う に):
野宮
ナース

VCR作:
秀明

ツイッター

ブ ログに載せるにはあまりにもどうでもいいこと、意味のないこと、味気ないことを書くために、現在ツイッターを使っている。もしどうでもいいこと、意味のな いこと、味気ないこと等々がお好きでない場合……まあそんな人はたぶんツイッターも使っていないだろう。それはともかく、Mishimmie(画像保管 庫)のアップロードを追いかける方法としては悪くないだろう。あとこの記事のテーマに沿うなら、本当に友達がいるような感じがするだろう。
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