タイトルは訳すと「翻訳者=反逆者」です。みなさんどうも。Silentcookです。またキーボードの前から、編集作業をさぼってブログ記事をお送りします。燃え尽きるのを回避するために一息ついてます。すみません。これ終わったらすぐに作業に戻るんで。マジで。
最近、VN界隈で本当にたくさんの翻訳活動を見かけます。最初は「VNコミュニティ」と書くつもりだったけど、気が変わりました。思い出してみれば、コミュニティというほどたいしたものじゃなくて、「VNに関わることをする」くらいしか参加の条件がないからです。と言うかこの私だって入れてもらえたわけだし。
この少々やっかいなお題について少し思うところを述べようと思います。
「翻訳」と言う言葉の意味は「絶対に失敗する」です。
いや冗談で言ってるんじゃないですよ。そういう心構えを持ってもらいたいんです。
ある一行の文章の訳し方は、それを訳す人によって違います。あなたがある文を直訳するか、自然に訳すか、自由に訳すか、どれかに決めたとしましょう。どれを選んだとしても、世の中には残りの二つの訳し方を選んだ別の二人がいて、この上なくはっきりとその訳し方は間違いだと指摘してくるのです。
そして同じように、読者にもそれぞれ好みのスタイルがあります。あなたと同じような考えを持っているけど、完全に同じではない……という人もいます。そして琳の台詞を目にしたら、あなたはさめざめと泣く羽目になるでしょう。
実際に翻訳者としての技量を考える前でさえ、これだけの難題があります。混乱を避けるために、話の前提として翻訳者は翻訳元と翻訳先の言語のどちらか、あるいは両方をネイティブに話すということにします。翻訳先の方が望ましいですが。そうでない場合については話したくないです。
その前提の上で、仮に翻訳者が十分な実力を持っているとしても、元の文章自体が翻訳されたものだった場合を考えてみましょう。この惨状をさらにややこしいものにしてしまうことになります。
困難はまだあります。以前、物書きというのは書き手の頭の中に浮かんだ絵を「翻訳」しようとする試みである、という興味深い指摘を読んだことがあります。このプロジェクトの数年間で私が見聞きしてきた苦労の量を考えれば、これは不完全なプロセスと呼ぶしかありません。
ところで、KSの翻訳に関して言えば、幸いなことに私は元の文章を書いたライターたちと一緒に作業し、質問をすることができます。でもたとえば、奈須さんや田中さんに連絡を取るというのはちょっとやっかいかも知れません。
(ちょっとそこの人、「不幸なこと」って言いましたか。そこには後で触れるので黙っててください。)
早い話、真っ暗闇の中を手探りして回るような作業をしなくてはいけないわけです。おまけに、大多数の人はあなたの成果の出来ばえに不満を持つことが確定している。じゃあどうしてわざわざVNの翻訳なんてするのか?
その問いに対する答えは二つしか思いつきません。当たり前の答えに見えたらごめんなさい。自分がやりたいから。そして読者層が広がるからです。
やりたいから、というのはより自己中心的な理由ですが、VN翻訳者にとっては最も重要です。わざわざ時間を費やして何かを訳すというなら、少なくともその訳す対象を好きであった方がいい。仕事で翻訳しているわけではないので、無給の奴隷労働をしているような気持ちになってしまったら、いい翻訳ができる可能性、それどころか最後までやり通せる可能性も、急激に下がります。
何かを翻訳すれば、それがどれだけマイナーであっても、読者層は広がります。情報があらゆる場所にあり、「常時つながっている」時代であっても、人々というのは自分の母国語しか知らないのが当たり前です。
翻訳されたものがリリースされるたびに、どこかの誰かにとっての選択肢が増えることになります。このこと自体が翻訳することの目的になり得ます。"translator"には「ガイド・導く者」という意味もありますが、それがより重要性を持ってきます。
あなたが好きなものが、より多くの人の目にも触れるようになる、という効果をもたらすことにお気づきでしょうか。いやいや、なんと幸運な偶然でしょう。
実際、最終的には関わったすべての人にとって結構いい感じに成功すると思いますよ! 上に書いた過ちの数々はこれからも何らかの形で繰り返す予定です。
失敗すると分かっていることをやり、達成不可能な完璧な仕上がりを求めて懸命に努力し続けるのです。
とりあえずそんなところでしょうか。さて、ルート一つが終わったので、作業に戻るとします。
- Silentcook
(訳注:Silentcook氏はKSのシナリオ編集と、イタリア語訳を担当しています。)
なるほろ~。
返信削除様々な関係者さんの観点がはっきり役にでてますねb
様々な失敗と経験を胸に日々頑張っている関係者さんの皆様に黙礼をさせて頂きますb
是非、これからも頑張ってくだし!